はじめに

2022年下半期の投資先は?

2022年下半期に投資先や投資額を増やすことを検討している方に、その検討先を聞いたところ「投資信託」が37%、「株式投資(米国株)」が22%、「株式投資(日本株)」が16%と、現在の投資先で1位だった投資信託への追加投資のニーズが強い結果となりました。これら上位3つの投資先について、現状を見ていきましょう。

・米国株
直近では、ジャクソンホール年次シンポジウムにおけるパウエル議長の発言が大きな話題を呼びました。この発言によると、FOMC(連邦公開市場委員会)の最大の焦点は、インフレ率を2%の目標まで引き下げることであり、金利の上昇・成長の鈍化・労働市場の軟化によって家計に痛みを伴うものになったとしても、物価の安定を最優先させることを明言しました。

この発言を受けた直後のNYダウなどは3%以上の下落となりましたが、今後も各種経済指標や要人発言に注目しつつも、インフレの鎮静化には時間がかかりそうです。2022年前半においては、アメリカの利上げペースの加速懸念やウクライナ侵攻の影響もあり、原油高やドル高の継続、株安局面が目立つ展開となりました。

・日本株
物価上昇に悩まされるアメリカとは大きく異なり、長くデフレ状態にあった日本においても、いよいよ物価が上昇してきました。2022年7月の生鮮食品やエネルギーを除くコアコアCPI(消費者物価指数)は前年同月比1.2%上昇と、明確にプラス圏になってきているものの、低金利状態は継続しています。

それがかえって、日本の株価がアメリカなどに比べると強い要因となっており、一時2022年初の株価水準を回復してきました。

・投資信託
想定以上に日本株は堅調で、かつ米国株が日本株より弱い状況となり、S&P500などのインデックスに連動する投資信託は円安ドル高の為替状況もあり、米国株の投資家にとって取得価額が上がってしまう悩ましい展開が継続しています。国際分散投資による長期積立ては、なるべく米国株など一点に集中しすぎないことが重要です。

また将来的な米国債利回りについては、ある程度の想定レンジが明確になりつつありますので、米国債などの外国債券への投資も人気がでてきそうな気配となっています。どちらにしても「長期・分散・積立」というセオリー通りに積立てを継続しつつ、適度なリバランス(リスクの再調整)も実行していきましょう。

NISAとiDeCoの制度変更について

また、つみたてNISAとiDeCoについて、それぞれ大きな動きがあったので解説します。

つみたてNISA

8月末、岸田政権の「資産所得倍増プラン」の具体策として話題になったのがNISA(少額投資非課税制度)の拡充案です。このNISAには主に、通常の「一般NISA」と「つみたてNISA」があり、現状の非課税期間と非課税投資枠はそれぞれ次の図のようになっています。

この両制度は同一年内において、それぞれ一方しか活用できなかったのですが、今回の拡充案では、併用と非課税期間の恒久化、非課税投資枠の増額、未成年でも活用可能にすることなどが2023年度の税制改正要望として検討されているようです。具体的はまだ明示されておりませんが、両者とも年末くらいまでには明確になるでしょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金・個人型DC)

iDeCoは、企業独自の年金制度である企業型DC(確定拠出年金)と異なり、自分でつくれる年金制度がiDeCoです。この企業型DCとiDeCoは、従来は規約に定めがない場合は併用できませんでしたが、2022年10月より併用可能となります。

企業型DC・iDeCoの毎月の掛金(積立)上限額は、他に企業年金があるかないかで変わりますが、両方を合算して、毎月55,000円を超えない範囲で、10月からは次の図のようになります。

勤務先の規約によっては、満額活用できていないかたもいましたが、iDeCo併用が可能になることで、毎月の掛金額を上限の55,000円にできる・近付けられる方が増えるようになります。

制度を活用し、より早く・長く資産形成を

我々の将来のお金を貯めるための国の制度や口座は、これまで徐々に改善されてきました。事前にある程度の知識や情報網などがあれば、より長く、より早く、有効な制度などを活用することも可能になります。資産形成においては長期の投資期間を早めに確保しておくことは大きなアドバンテージになり、経済的にも心理的にも余裕をもって資産形成ができるようになります。

また、有利な制度などの有無にかかわらず、課税か非課税かに関わらず、資産形成そのものが我々の将来にとってとても有効であるということも、再度想い起こしていただければ幸いです。


2022年夏 投資と貯蓄に関するアンケート調査』概要
実施時期:2022年7月27日(水)~8月2日(火)
調査対象:お金の見える化サービス『マネーフォワード ME』利用者
回答者数:1,921名
調査手法:インターネットを利用したアンケート調査
※割合表記は小数点第一位を四捨五入

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