はじめに
理論上はFIRE達成可能だけれども…?
FIREの実現性を考える上で、「4%ルール」というものが知られています。資産を主要な株式インデックスと債券で50%ずつ運用しながら、総資産の4%を取り崩していけば30年後でも資産が0になる確率は極めて低く、平均値ではむしろ資産は8倍に増えるというものです。この「トリニティスタディ」と呼ばれる米国のトリニティ大学の研究結果をもとに考えてみると、相談者様の運用資産7,500万円の4%は300万円になりますので、年間300万円以内の支出で生活できれば実現可能性があることになります。
月の生活費は20万円で、ボーナス80万円から30万円を使っていることを考えると、年間の支出は270万円なので300万円におさまっています。
セオリー通りにいかない要素を整理する
ただし現在は、ご実家暮らしなので家賃や光熱費は発生していません。その分お金が貯まりやすく、貯蓄・投資がしやすい環境にあったと思います。ただ、残念ながらご両親もお亡くなりになる日は来てしまいます。いつかは自分自身で家の管理コストや光熱費が発生することは考えておきましょう。
さらに、以下のポイントを考えると短絡的に判断できないと思われます。
◆米国と日本の違い
トリニティスタディは米国での運用と税金、インフレ率を考慮しながら、S&P500に連動した株式インデックスの投資と米国債権による運用を前提にしているので、日本では為替の影響や税率などが異なってしまうこと。
◆ライフステージやライフイベントによる生活費の変化
ライフイベントによる支出の変化を読み込めていないこと。例えば、先ほどご指摘したご両親の他界や、相談者さまのご結婚や家族が増えた場合の生活費の増加があること。
◆退職後の社会保険料や税金など
退職すると収入が減りますが、住民税は昨年の収入に対して請求されます。昨年分が6月以降に請求されるので、あらかじめ準備しておく必要があります。また、会社勤めの場合の社会保険料は厚生年金として源泉徴収されていますが、退職後の国民年金保険料(令和4年土は月額1万6,590円)は自分で納付しなければなりません。