はじめに
顧客がファンになり、新たな顧客を紹介してくれるのは営業にとって理想的な状態といえますが、どうすれば実現していけるのでしょうか?
そこで、営業コンサルタント・和田裕美( @wadahiromi )氏の著書『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』(かんき出版)より、一部を抜粋・編集してファンづくりのテクニックについて解説します。
キャンペーンは相手目線になっているか?
お客さまからの紹介で売上が上がることは企業にとっても個人にとっても、とてもありがたいことです。しかし、「じゃあ、紹介キャンペーンをしよう」と実施しても、このキャンペーン、なかなかうまく動かないことが多いのです。
なぜかというと、しっかりお客さまの気持ちを考えないままに「いい人がいたら紹介してください」と要求してしまうからです。もちろん中には、「ちょうど友だちを紹介したかったんです!」「え、紹介したら私にも商品券もらえるんですね、頑張ります!」と前向きに受け止めて行動に移してくださる方もいらっしゃいます。
しかし、多くの方は「紹介したことで何かをもらったって相手に知られたらなんと思われるかな」という心理が働くので躊躇してしまいます。
だからこそ、〝売上が欲しいから紹介キャンペーンをやろう!〟という気持ちを「いいものを、信頼ある人の言葉で届けて欲しい」という気持ちに置き換えてみるのです。そうすると、紹介キャンペーンの時だけ「紹介したい人いませんか?」と唐突に聞いたりせず、常日頃から「どなたかお勧めしたい人がいらしたら、ぜひご紹介ください」と、きちんと伝えておくことができます。
「お得なキャンペーンの時のほうがいいのでその時にまたお伝えしますね。なので、今はまだご紹介いただかなくて大丈夫です」と付け加えるとより相手目線になれます。
ネガティブな部分が共鳴して、心のドアが開くこともある
ファンの方は共感でつながっている、つまりは「類友」だと言いましたが、その「共感」は2種類あるんです。まず、1つめが「これが好きだ」という「ポジティブな共感」です。
そしてもう1つが「これが苦手」という「ネガティブな共感」です。
好きなものが一致する以上に、嫌いなものが一致するほうが共感度が高いと言われています。
そもそも人はネガティブなものに共感しやすいからです。
これは危機回避をするという生まれながらの脳の設定によるものだそうですが、それ以上にネガティブな意見には本音が見え隠れします。その本音が同じだと知ると嬉しさが倍になりませんか?
また、共通の敵をつくると仲良くなりやすいというのは古くから言われています。
「和田さんのお客さんは、ぐいぐい押してくる感じじゃないよね」とよく言われるのですが、そもそも私が押しの強いタイプが苦手。
私の苦手なものに共感する人が集まってきているので、みんな押しが強くない。だから、似ているし、みなさん仲良くなるのが早いのだと思っています。