はじめに
相談され始めたら、もう、営業ではない……のかもしれない
サプリ開発・卸販売の会社をされている株式会社メディキューブの稲川竜生社長には別の顔があります。それはプロの気学鑑定家と姓名判断師としての顔です。趣味が高じて圧倒的な知識を得て、今では社長業のかたわらに気学のセミナーを開催されたりしています。さらに、取引先で興味がある方がいれば無料で鑑定をしてくださるのです。クライアントからは「先生」と呼ばれ、このポジションが絶妙なんです。
クライアントはサプリを販売するエステサロン、ドラッグストア、クリニックなどになるわけですが、経営のことだけでなく、プライベートなことまで相談を受けているので、もはや従来の「営業」ではない。“先生が勧めるものなら間違いない”という信頼の上でビジネスが成り立っているからです。
すべての営業が、別のスキルをプロ並みに身につけるのは結構ハードルが高いかもしれませんが、何か自分の得意分野、アートや音楽、ゴルフやテニス、車、食など、自分の好きなものを「相手に教えることができる段階」まで深掘りしておくと、あなたの価値が上がり誰かの役に立てる機会が生まれます。
そうなると、次第に相談されるようになりファンになってもらえるんです。
静かなファンを見過ごさない
共感で集まる「類友」だったとしても、やはりファンの方の1人ひとりの個性は違います。
積極的に手を挙げて質問する人もいれば、なかなか手を挙げられない人もいらっしゃいます。セミナーなどでは「人に声をかけることに躊躇しなくなる習慣を」「積極的に手を挙げること」など仕事で結果が出るためのアドバイスはしていますが、私ももともと手を挙げて質問するなんてできない人種なので、「手を挙げたほうがいいのはわかる、だけどとても勇気がいるんです」という、お客さまの心の声も聞こえてきます。
だからこそ、そういう静かなお客さまにはできる限り声をかけてケアをしてあげたいのです。
メールでもラインでもオンラインミーティングでも構いません。とにかく、こちらが待っていても何のリアクションもされないことが多いです(慣れてくると変わってきますが)。
でも、手を挙げる人だけが意見や感想を持っているわけではありません。サイレントな人もいろいろな想いがあるのです。だから私は、どんな場所でも「さみしい人をつくらない」と決めています。私のところに来た、すべての人が「ここに自分の居場所がある」と思って欲しいからです。
ファンが求めるものは「想定外なもの」
「何を勘違いしているのか?」と言われるかもしれませんが、私はオリジナルグッズの販売をしています。言うまでもなく、私は作家でありセミナー講師に過ぎないので、おっしゃるような勘違いの自覚もあるにはあるのですが、奇特なファンの方たちがイベント会場でそれらのグッズを並んで購入してくださるのです。
本当にその光景だけ見ると、「アーティストのライブ?」と勘違いしそうな景色です。
そこに並ぶのは「前髪神さまトートバック」「イベントTシャツ」「前髪神さまハンカチ」「和田イラスト絵葉書」などなどグッズ屋?と思うくらいのラインナップ。
よく考えたらその会場にいらした目的は名目上「何かを学ぶため」なので、その人が「前髪神さま折り畳み式アンブレラ」(弊社のロゴマークにもなっている「前髪神さま」のキャラクターを使ったオリジナルグッズ)を購入するのは変ですよね?
でも、ファンになってくださるとその目的が変わってくるのです。「何かを得たい」という目的から「一緒にいたい」「共感したい」という目的へ。 そして、とても大事に使ってくださいます。
もちろん、販売だけでなくノベルティーとして差し上げるものもたくさん用意しています。
ファンでない方にはあまり魅力的ではないものでも、ファンの方にとっては大切な記念であってつながりになるのです。