はじめに

最新の日銀短観を解説

それでは、10月3日(月)に発表された日銀短観(2022年9月調査)の結果をみていきましょう。

9月の短観では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は前回の6月調査から1ポイント悪化してプラス8となりました。これは3四半期連続での悪化です。資源高と円安を背景とした原材料のコストの増加が懸念となり、景況感への見通しは悪いといえますが、大企業非製造業は新型コロナウイルスの影響が緩和したことなどからプラス14と2四半期連続で改善しています。

上昇幅では販売価格判断DIが仕入れ価格判断DIを上回っており、コスト高を販売価格に価格転嫁する動きも進行していることがわかります。加えて大企業製造業の仕入れ価格判断D I、販売価格判断DIは、ともに約42年ぶりの高水準となっています。

つまり、私たちがモノを買ったりサービスを受けたりする価格は高くなっており、少なくとも短期的にはその状況は続きそうです。また、企業の事業計画の前提となる2022年度の想定為替レートは、全規模全産業で1ドル=125円71銭と円安方向に修正されたものの、足元の為替の水準(145円前後)とは乖離しており、その点は押さえておいた方がよいでしょう。

短観の結果について松野官房長官は「全体として景気の緩やかな持ち直しの動きを反映したもの」との認識を示したと報じられています。10月3日(月)に開会された第210回臨時国会の所信表明演説では、岸田首相が「足下の物価高への対応に全力をもって当たり、日本経済を必ず再生させます」と言明したと報じられています。しかし岸田首相の発言について期待、評価する声は少数派のような印象をうけます。内閣支持率の下落が止まらず、それは先行き不透明感として日本株のリスクとなるかもしれません。

ウクライナ侵攻にともない、各国がロシア制裁としてロシアからエネルギーを輸入しなくなったことにより需給が逼迫し、エネルギー価格が高止まりするなど、外的要因でコストが高くなっていることに加えて、円安進行で輸入品が円ベースでは高くなっていることが中長期的なインフレ懸念を高めている状況のなかで、インフレが私たちの生活に及ぼす影響は無視できません。

政府がインフレに対する根本的な対策をどう取っていくのか注視すべきですし、インフレを表す経済指標の消費者物価指数の動向やドル円の値動きも注目すべきだと考えます。私たち自身も副業や投資などで、自分たちの生活費や資産を守っていくのかを考えていかねばならないのではないでしょうか。

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