はじめに

まずは売上シミュレーションをしてみる

販売価格を決めたら、自分に合った売上目標を設定します。ここでポイントなのが、高過ぎる目標にしないこと。理由は、売上目標が高過ぎると、達成しなかったときに落ち込んでしまい、モチベーションが下がってしまうから。売上目標が決まると、利益率から逆算して概算の仕入れ金額が分かります。その仕入れ金額が自分の事情に合った金額でないと非現実的な目標になるので要注意です。

それでは、具体的な売上シミュレーションで説明していきましょう。まず、米Amazon輸出ビジネス初心者の方のケースで考えていきます。例えば、最初の1カ月の売上が10万円だったとします。その後、仕入れ金額を少しずつ上げていき、売上が2カ月目20万円、3カ月目50万円、そして4カ月目に月商100万円を達成した場合を考えます。この時、売上拡大の勢いがついているので、5カ月目は月商200万円を目指しがちです。

実は、ここに落とし穴が潜んでいます。一気に売上アップしたい気持ちもわかるのですが、できれば3カ月間は月100万円をキープすることをお勧めします。この理由は2つあります。

まず、1つ目の理由は、売上が急激に上がるとAmazonから目をつけられてしまうから。どういうことか説明すると、急激に売上がアップすると、Amazonから審査が入る可能性があります。審査には、Amazonが悪質なセラーでないかを確認する意図があり、特に急激に売上が上がるセラーは目をつけられやすい傾向にあります。審査が入った場合、その期間はAmazonから売上金の送金を止められる場合があり、キャッシュフローに大きく影響します。後々、アカウント停止など、面倒なことになるのでできれば避けたいところです。

そして、2つ目の理由は、ビジネスの資金繰りが見えなくなり、キャッシュフローで失敗する可能性が高くなることです。これは非常に大切なので、詳しく説明しましょう。特に、仕入れでクレジットカードを使っている場合は、要注意です。

Amazonでどんどん売上が上がっていくと、テンションが上がりついつい調子に乗ってしまうのが人間です。販売した2週間後にはAmazonから入金されるので、多くのお金があると勘違いしてしまいます。このビジネスの長所でもありますが、売上金が先に入り、仕入の支払いはその後になりますので、一時的に手元に潤沢な資金がある状態になるのです。しかし、クレジットカードでの支払いが1.5カ月後にあります。そのため、手元に支払いのための資金を残しておく必要があります。売上金が先に入り、仕入資金は後から支払うため、特に売上が上がり続けている間は、売上が大きくなった今月の売上金で、売上の小さかった前月の仕入資金を支払う構図が生まれるため、実際のキャッシュフローよりも手元資金が多くなっているように感じてしまうのです。

よって、月100万円の売上を達成したら、いったん落ち着いて月100万円の売上をキープすることを目標にしてください。あくまでも、米Amazon輸出ビジネスは長期戦。安定的な売上を達成するためには、現実的な利益目標の設定が重要です。そこまで焦らなくても、短期間で結果を出せるのがこのビジネスの魅力です。焦って失敗するのではなく、長期的に成功できる道を選びましょう。

利益から逆算して販売戦略を立てよう

利益は1円単位で正確に計算しておくことが大切です。どんぶり勘定でビジネスを進めると、儲かっていると勘違いし、知らず知らずのうちに赤字だった、というのは良くあるケースです。商品のリサーチが終わり、FBA最安値から販売価格を決めた時点で、しっかりと利益計算しておきましょう。

利益計算は、Amazonが無料提供している「フルフィルメントアマゾン・レベニュー・カリキュレーター(Fulfillmentby Amazon Revenue Calculator)」を使うと便利です。これにより、1円単位で正確な利益計算をすることができます。まず、自分が販売している商品のJANコードかASINを入力します。そうすると、商品サイズや重さ、カテゴリーなどの情報が自動入力されます。もし、JANコードなどがわからない場合は、自分で商品サイズなどを入力することもできます。そして、見積もり(Estimate)をクリックすると、Amazonでかかる手数料が1セント単位で正確に表示されます。その数値を使って、トータルの経費を差し引いた正確な利益を算出します。

利益=販売価格―Amazon手数料―仕入れ値―国際送料―発送代行費用―関税

※Amazon手数料=販売手数料+FBA手数料
※仕入れ値=商品の仕入れ代金+国内発送手数料

このカリキュレーターで、仕入れ値や国際送料、発送代行費用などの必要経費を入力して利益を計算します。特に関税費用は、情報が少なく、正確な計算は難しいのですが、過去の実績から見込みの関税費用を入力して算出すれば大丈夫です。弊社の発送代行の場合、仕入代金の2 ~ 3%が関税ですが、一般的な発送代行の場合は7%程度と考えてください。発送代行費用については、ご自分が使われている発送代行の費用を正確に入力してください。

さらに、為替レートも正確な数値を入力しないと計算が大きくズレてきます。よく「Yahoo!ファイナンス」の数値で計算する方がいますが、残念ながら実情と合いません。利益率が高く出る傾向にあります。実情に合った為替レートは、Googleスプレッドシートの「Google Finance」という関数を使えば求められます。関数で得られた数値から2%引いた金額が正確な為替レートです。

利益計算は、1%のズレが大きな差になるため、正確に計算しておくことが大切です。あらかじめすべての経費を考慮して利益計算をすることで、実際の利益とほとんど一致します。儲かっていると思ったら、「気がついたら赤字」という残念な事態にならないためにも、この正確な利益計算を必ず行うようにしてください。

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