はじめに

給付金、育休を取るタイミングで金額に差

家計について見てみましょう。Aさんのように小さな子を持つ家庭の家計を考える場合、子が保育園などに入るまでの短期的な視点と、老後を見据えた長期的な視点が必要になります。

長期的には、夫婦のキャリアプランを話し合うことが必要です。将来的に、妻が出産後も仕事を続けていくかどうかで家計には大きな違いが出てきます。夫婦ともに厚生年金に加入しながら働けば、経済的に安定し、老後の不安も軽減することができるでしょう。

妻が仕事を続けていくためには、夫とともに家事や育児をしていくことが欠かせません。夫婦で想定するライフプランをもとに、それぞれの仕事との向き合い方と家事や育児の負担について、しっかりと互いの認識を合わせます。その上で、短期的な視点で家計を維持していくことを考えます。

産前産後休業や育児休業中は、原則会社から給与がでませんが、妻には健康保険から子1人あたり出産育児一時金42万円が出ます。また、出産手当金が出産日(出産予定日)の42日前(多胎妊娠は98日前)から、出産日の翌日以降56日まで支給されます。1日当たりの支給額は「休業開始前の12カ月間の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3」です。給与ではないため、所得税の課税はなく、社会保険料も免除されます。住民税は前年度の所得税額から決まるので徴収されますが、手当金の額は翌年度の所得税額を算定する収入にはなりません。

育休中は、雇用保険から要件に該当した場合、出生児育児休業給付金・育児休業給付金が該当する期間、支給されます。休業開始前6カ月間の賃金総額から1日当たりの賃金日額を計算し、その67%が1日あたりの給付金です。育児休業給付金は、休業開始から180日目までは67%、181日目以降は50%になりますが、出生児育児休業給付金の支給対象となった日数(上限28日)を180日から差し引いた残りの日数が、67%の支給率が適用される日数となります。給付金は、出産手当金と同様に所得税が非課税で、社会保険料が免除されますが、前年度分の住民税が引かれます。

夫婦で育休を取るタイミングを工夫していくことで、原則として1年間は67%の給付金を受け取りながら、仕事と育児や家事にあたっていくことができるでしょう。

産休中や育休中は、夫婦それぞれ手取りが2〜3割減るケースが多いので、普段は貯蓄をしていても、それが難しくなることもあるでしょう。しかし、一時的なことなので、無理に支出を減らしてストレスなどをためないことです。必要なら貯蓄を取り崩して対応します。貯蓄は工夫次第で後から挽回することもできます。出産後の1年は特別な時期と捉えましょう。

育児介護休業法については、お子さんが小学校に入学するまで取得できる看護休暇や、時間外労働、深夜労働を制限できる制度があります。こうした制度をうまく活用し、育児か仕事かの選択ではなく、両立していくことを目指しましょう。

また、会社に対しては「育休を取得したい」という希望を時間的な余裕を持って伝え、スムーズに仕事を回していけるようにします。育休は、会社の規模に関係なく、会社に制度の規則がなくても、取得の条件を満たしていれば誰でも取ることができます。そのためにも、制度の詳細を把握していくようにしましょう。

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