はじめに

指定運用方法は何が問題なのか?

では、指定運用方法とはなんでしょうか?

これは、iDeCoの商品ラインナップから、運営管理機関が選んだひとつの運用商品です。以前は「デフォルト商品」と呼ばれ、定期預金など元本確保型が設定されていることが多かったのですが、最近はそうでもなくなってきました。

例えば、大和証券のiDeCoの場合、指定運用方法は「あおぞらDC定期」ですが、野村證券は「ターゲット・イヤー・ファンド」です。これは、加入者の年齢が上がるにつれ、株式へ投資する比率を自動的に下げていく投資信託です。加入者の生年月日により振り分けられるので、現在40歳であれば「マイターゲット2045」が自動的に当てられます。

資産運用においては、若くて運用期間が長く持てる場合は株式配分を高めた積極的な資産運用が適し、年齢が上がりその後の運用期間が短くなるに連れ債券配分を高めた保守的な運用が適している、という考え方があります。この理論に従ったターゲット・イヤー・ファンドは合理的な選択肢とも言えますが、投資において採用すべき理論はこれだけでもないことも知っていただきたいところです。

また、楽天証券、SBI証券(セレクトプラン)のiDeCoの指定運用方法は、「バランスファンド」です。前者は「楽天・インデックス・バランス・ファンド」で、基本配分は株式15%、債券85%。後者は「SBI グローバル・バランス・ファンド」で、基本配分は株式40%、債券60%です。

iDeCoは、時間を味方につけ資産を成長させていく仕組みです。指定運用方法がその方が望む運用商品であれば問題がないのですが、認識がないまま買い付けが行われているのであれば、今すぐに変更すべきです。自分の将来を、なんとなく流れに任せてしまうのは、残念な選択ではないかと考えます。

指定運用方法は、会社の確定拠出年金(企業型DC)からの資産移換の際も同様に適用されます。なにも指定せずに移換手続きを行うと、資産全額が指定運用方法に切り替わりますから、特に慎重に手続きしましょう。ある程度の残高がある場合は、いったん定期預金など元本確保型商品を指定し、そこから少しずつ「時間分散」しながら投資信託に振り替える方がよいでしょう。

また「とりあえず、わかりやすい元本確保型商品」に設定している方も、本当にこのままでよいのか再考しましょう。そもそもiDeCoを始めた目的が将来のためにお金を成長させたいということであれば、投資信託での運用が目標達成のためには必須ではないでしょうか?

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