はじめに

東証の動きをチェック

東証は個人投資家が投資しやすい環境を整備するために、1990年に上場会社に対して投資単位の引き下げの要請を開始しました。当時は1,000株単位での売買が主流だったこともあり、投資金額が大きく、そのために「投資はお金持ちがするもの」というイメージをお持ちの方が多かったのかもしれません。

しかし、東証の要請にかかわらず売買単位の引き下げはスムーズには進まず、株式の売買単位が100株に統一されたのは2018年10月のことでした。

それまでバラバラだった売買単位が統一されて売買しやすくなったといえます。また東証は2001年に、上場規則の努力義務として「50万円未満」の水準が望まれる旨を明示しました。現在は95%の会社が50万円未満の水準を維持しているとのことですが、その一方で株価が高い水準にとどまっている企業もあります。

日本取引所グループによりますと、「投資単位が50万円以上の会社(高投資単位会社)の割合は、近年10%を下回る水準で推移しており、2022年9月末時点では、95.1%の会社が50万円未満となっています」(※)とのことで、2022年10月27日に投資単位が50万円以上の会社に対して、投資単位の引下げに係る検討について要請を行った旨が記載されています。
※引用:日本取引所グループ「投資単位の引下げ / 株式分割の仕組み・効果」より

それを受けて投資単位が高い水準にある上場会社、つまり値がさ株の企業が投資単位の引き下げのために株式分割を行う可能性があります。

株式分割のメリットとしては、以前の記事でも解説しましたが、投資家が買いやすい値段となる事で、その株を投資対象とする人が増える、つまり買いたい人が増えれば株価が上がる可能性があげられます。また適切な株価に分割で調節することで流動性も改善されると考えられます。そのため株式分割は買い材料であるといえます。

日本の値がさ株ランキング

指数の上昇シグナルとなると言われ、東証の要請を受けて株式分割をする可能性もある値がさ株について、2022年11月9日(水)時点の株価を元にランキングをチェックしてみましょう。

1位はファーストリテイリング(9983)です。衣料品のユニクロやGUで有名な企業で、世界的にも有名な企業です。株価は8万円を超えており、現物株での投資資金は800万円以上必要となります。

2位のSMC(6273)はFA空圧制御機器で世界首位の空気圧制御機器メーカーです。3位のキーエンス(6861)はFA(ファクトリー・オートメーション)用センサーを中心に測定器や画像処理機器の企画や設計、開発、生産を手掛ける企業です。

4位は半導体企業の東京エレクトロン(8035)、5位はエスケー化研(4628)、6位はディスコ(6146)、7位はレーザーテック(6920)、8位はシマノ(7309)、9位はSHIFT(3697)、10位はダイキン工業(6367)です。10位のダイキン工業でも株価は2万円(必要投資金額は200万円)を超える水準となっています。

現物では投資資金のハードルが高いという方は、証券会社によっては1株から買える制度があったり、CFDという少額でレバレッジをかけた取引もできますので、気になる方は調べてみてください。

なお、値がさ株が必ず分割する、上昇するということではありません。また、個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。皆さまが投資戦略を考える上で、情報集めの参考になれば幸いです。

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