はじめに

平均値のヤバい落とし穴

さて、前項のグラフの中身を見てみましょう。 「ふつうの世帯」はどの程度、貯蓄があるんだろう? と気になりますが、考えてみると、そもそも「ふつうの世帯」って、どういう世帯のことをいうのでしょうか。

「平均的」というのも、もちろん間違いではありません。そこで、平均値(平均)を見てみましょう。グラフに「平均値1791万円」と書いてあります。

1791万円??? これは「ふつうの値」として生活感覚に合うでしょうか?

「規格外」に影響を受けやすい平均値

実は 「平均」には、大きな落とし穴がある のです。それは大きな値や小さな値(外れ値)に引っ張られること。

たとえば、上の5人の平均身長を計算すると、176センチになります。計算は合っていますが、これも腑に落ちない数字です。

というのは、「ふつう=平均」といっておきながら、5人のうち4人までが「ふつう」の176センチに達していないからです。

その原因は何か? 身長200センチという、飛び抜けて背の高い人(外れ値)が1人混じっているためです。

貯蓄のグラフでも、一部の大金持ち層が、平均値を実態よりもかさ上げしていたのと同じです。

「平均値」とは、何人かいればその「重心」のような「仮想的な人」を想定するということであって、計算上の数値だからです。

平均値は正規分布のグラフのデータには力を発揮しますが、大きなデータに引きずられる場合は、あまり効果を発揮できないのです。

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