はじめに

食事ひとくちで「30回噛む」

「よく噛んで食べなさい」。先生や両親などから、だれもが一度はこう注意されたことがあるでしょう。聞き飽きたという人も多いでしょうが、実はこの昔ながらの教えは、慢性炎症の予防や改善に役立つことを知っていましたか?

その秘密は唾液にあります。

食べ物を噛んでいると、その刺激が脳に伝わって、反射的に唾液が分泌されます。この唾液には、体のサビ(活性酸素)を除去するはたらきがあるのです。唾液には抗酸化作用のあるペルオキシダーゼという酵素が含まれているんですね。 

さらに、唾液には抗ウイルス・抗菌作用を持つ物質も含まれています。唾液には体にとって悪い菌が侵入しないように防ぐ役割もあるわけです。

唾液がたっぷり出ていると、炎症を引き起こす感染症にかかりにくくなります。

たとえば、歯周病も感染症の一種で、慢性炎症をともないますが、唾液にはこの歯周病の原因となる歯周病菌の増殖を抑えるラクトフェリンとラクトペルオキシダーゼという成分が含まれています。これらの成分は歯周病菌だけでなく、多くの病原菌への抗菌作用、抗炎症作用などがあると言われています。

さまざまな健康効果を持つ唾液ですが、20代をピークにして、その分泌量は徐々に減少します。赤ちゃんはよだれでベタベタになりますが、年をとると口の中は乾燥しやすくなりますよね。唾液が十分に分泌されているのは、健康な証拠。毎回の食事の際、「ひとくちで30回噛む」ことを目安に、唾液を出すことを意識してほしいものです。

よく噛んで食べるコツのひとつは、ひとくちの量を少なめにすること。口のなかに入れる量が多いとよく噛めないので、早めに飲み込んでしまいがち。噛む回数が減ってしまうからです。ひとくちを控えめにして、よく噛んで味わって食べるようにしましょう。

万病を招く「口呼吸」をしない

人間のような哺乳類は本来、鼻から息を吸って、鼻から息を吐くというふうに、「鼻呼吸」をする生き物です。ところが、現代人のなかには、口呼吸になってしまっている人が少なくありません。とくに最近は、マスクをつけている時間が長くなって、その息苦しさから口呼吸になる人が増えているので、注意が必要です。

なぜ、口呼吸がいけないのかというと、体の防御機能が落ちるから。鼻は空気を体に取り入れる際の「空気清浄機」の役割をしています。鼻毛が空気中のホコリや花粉をせき止め、鼻の粘膜やそこに生えている細く短い繊毛が細菌やウイルスなどの有害物質をろ過してくれているのです。

同時に、鼻は「加温・加湿」の機能も備えています。細菌やウイルスの繁殖を防ぐためには、冷えや乾燥は禁物。鼻から吸い込んだ空気は鼻腔内で温められ、加湿されて肺に送り込まれます。

一方、口は本来、食べるための器官なので、鼻のような防御機能はありません。

口で呼吸をすると、ウイルスや細菌などの有害物質が侵入・繁殖しやすくなってしまううえ、体内に継続的に有害物質が侵入すれば、慢性炎症が引き起こされるリスクも大幅にアップします。

次のような人は口呼吸の可能性が高いです。すぐに鼻呼吸に切り替えを!

□気づくと、口が開いていることがある
□口の中がかわきやすい
□唇がかわいて、荒れやすい
□鼻詰まりがある
□いびきをかく
□起きたとき、のどが痛いときがある
□口臭がきつい

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