はじめに

保険で積立貯蓄した場合のデメリット

一方、保険で積立を行う際のデメリットもあります。

・元本よりも増えにくい
生命保険は変額保険以外、おもに国債で運用されています。安定した運用が見込めるものの、低金利であるため、増えにくくなっています。

・投資信託などの運用商品よりも非効率で
毎月支払う保険料が積み立てる金額となりますが、この保険料全額が運用されるわけではありません。

保険料は「純保険料」と「付加保険料」とに分かれており、「純保険料」は保障に充てられ、解約時のお金の積立は「付加保険料」の一部で運用されます。

つまり自分が払う保険料の多くは保障やその他の運営費に回り、運用されるのは一部だけです。このため解約時の金額が確約できるというメリットは享受できます。

しかし単純に「運用」という点で考えると、その他の商品に比べて、運用に回るお金が少ない分、効率が悪くなります。

・保険に入った目的が分かりにくくなる
将来の貯蓄目的で、積立機能のある三大疾病終身保険に加入した際、がんなどの三大疾病保障を持ちつつ、積立できます。がんにならずに老後を迎えた場合は、老後の必要な時点で解約し、解約返戻金を受け取ることになります。そしてもし、がんにかかったときには解約返戻金ではなく保障が下り、がん治療の費用に充てることができます。しかし、保障額すべてをがん治療のために使ってしまうと、本来の目的とする貯蓄としての機能を果たすことができなくなります。

・毎月の積立金額が変わることがある
外貨建ての保険の場合、毎月の保険料が200ドルというように、ドルベースになっているものがあります。そのため加入当初は1ドルが100円で毎月20,000円くらいの積立を予定していたものが、円安で1ドルが140円にもなると、月額保険料が28,000円と負担が大きくなることがあります。

・生命保険料控除よりもiDeCoのほうが控除額は大きくなる
たとえば会社員(国民年金第2号被保険者)が、毎月20,000円を生命保険(平成24年以降に保険加入したものとする)とiDeCoで積み立てた場合を比較します(年収が約450万~640万円程度の課税が10%の対象者とします)。

生命保険料控除は控除額の上限が所得税は40,000円、住民税は28,000円までです。したがってお得になる金額は68,000円/年となります。

一方iDeCoは、会社員だと毎月23,000円までの分が全額控除となるため、毎月20,000円の積み立て分全額控除されます。したがってお得になる金額は、480,000円/年となります。

保険が有効なのは保障

たしかに積立貯蓄もでき、保障も兼ね備えた保険は、あれもこれもとカバーしてくれるため、安心感が得られるような気がします。しかし貯蓄として考えると、効率の悪さや保障の目的があいまいになり、そもそも何のために加入していたのか分からなくなりがちです。

毎月コツコツ積立を長い間続けるには、保険は「保障」を目的として加入し、貯蓄とは切り離して加入することをお勧めします。

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