はじめに
国債は国が発行し、元本と利子の支払いを国が保証してくれるため、信用度が高く手堅い金融商品のひとつです。
国債とは借り手の国側が債務者、貸し手側である個人や民間企業などが債権者となり、定期的に利子が支払われ、満期になると元本が戻ってきます。直近では、コロナショック時の財政出動や、日本銀行が国債を大量に買い入れ、長期金利の大幅上昇を抑制する「連続指値オペ制度」などにより一層注目を集めるようになりました。
本稿では、個人投資家が買える一般的な国債、「個人向け国債」がローリスクである理由について解説します。
そもそも個人向け国債とは?どんな商品があるのか
個人向け国債は銀行預金などと同じく「安全資産」として注目度の高い金融商品です。EUとは違い、日本のように国債を自国通貨建てで発行でき、国内の民間貯蓄が多く、経常黒字で外貨準備も豊富な国の国債は、元本や利息の支払いの遅延や停止、元本の償還が不能となるなどのデフォルト(債務不履行)が起こりにくくなっています。
安全資産とは、満期まで保有すれば基本的には相場変動などによる元本割れのリスクがなく、将来の収益も確定している資産のことで「無リスク資産」とも呼ばれています。一方、株式や投資信託などの元本割れのリスクがある投資商品は「リスク資産」とも呼ばれ、将来のための資産形成においては、この無リスク資産とリスク資産のバランスをとっていくことが重要になります。
元本割れのリスクがない安全資産ということ以外に、個人向け国債の特徴・強みをまとめると次のようなものがあります。
- 年率0.05%の最低金利保証
- 1万円から購入可能なので、手軽に始められる。また購入金額に上限はない。
- 発行1年後より、1万円から中途換金が可能 (※ただし、直前2回分の各利子(税引前) 相当額×0.79685が差し引かれます)
- 毎月発行され、身近な金融機関(銀行・証券会社・郵便局など)で購入可能
「令和3年度国債広告の効果測定に関する調査」(財務省)でも、個人向け国債を購入した理由について、次の3点が上位に上がっています。
- 国が発行しているので安心
- 身近な金融機関で購入できる
- 1万円から1万円単位で購入できてお手軽
国債の購入者は、60代以上が50%弱となっていますが、40~50代も40%弱と、幅広い年齢層に普及していることが伺えます。
余裕資金による資産形成のなかで、銀行預金や投資信託を活用されている積立投資家においても、投資信託の買増しや、保有している投資信託などの保有割合を当初の計画通りに修正するリバランス(リスクの再調整)などでも、個人向け国債は活用されます。とくに数年間は使用しないお金の運用先としては、年率0.05%の最低金利保証があるため、一般的な銀行の普通預金や定期預金の金利よりも、運用効率がよいと考えられます。