はじめに

2022年11月19〜20日、“みんなで学んで、一生役立つ。”をテーマにしたオンラインイベント「お金のEXPO2022 オンライン」が開催されました。

19日に行われた『「歴史的円安」の局面、資産形成はこれからどのように行動すべき?』では、マネックス証券チーフ・FXコンサルタントの吉田恒氏による、円安局面での外貨投資についての収録講演が放映されました。

本記事では、内容を一部抜粋・編集して紹介します。


円安は終わりに近い

収録日の2022年10月26日現在、歴史的なドル高円安の局面となっています。この円安局面を鳥瞰図(ちょうかんず)のように少し高い位置から、長期的な目線で見てみるとどのように見えるでしょうか。

2000年以降(黒線の右側部分)では初めて140円を超える円安となり、実際のところ円安はかなり進行していることがわかります。2000年以前を振り返れば、円安がもっと進んでいた局面もありますから、一見するとまだまだ円安が進みそうな気もしてきます。

次に、ドル円相場の5年MA乖離率を見てみましょう。

これはドル円相場が過去5年間の平均値からどれくらい乖離しているかを表したグラフです。例えば現在のドル円相場は過去5年間の平均値と比較すると30%ほど円安方向に振れていることになります。

このグラフをよく見てみると、1980年以降の40年間、ドル円相場は定期的に円安に行き過ぎたり、円高に行き過ぎたりしていますが、おおよそ上下30%の範囲内で収まっていることがわかります。上のドル円相場の推移のグラフでは40年間でランダムに変動しているように見えますが、このように5年間の平均値からの乖離で見てみると、上下30%という一定の幅を行ったり来たり循環しているわけです。

そして、上の30%の赤線に触れているのは1998年、2015年そして今回の2022年の3回ですが、過去2回はいずれもここで円安が終わっています。つまり、現在の円安局面はさらなる円安の始まりというよりも、むしろ円安がもうほぼ終わりに近いところに来ているという見方ができるのです。

この数カ月間、止まるだろうと言われ続けながらも円安が進行しているため、やっぱり人間の感覚としては「今まで見たことがないことが起こっているのかもしれない」「まだまだ円安は進むかもしれない」と考えがちです。しかし、鳥の目で見ることによって円安の進行は分岐点に来ているということをしっかり確認していただければと思います。