はじめに

■12月末までに、NISA(少額投資非課税制度)枠を使い切ろう

NISAは、投資の利益を非課税にできる税制優遇制度です。通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をすれば、売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかりますが、NISAを利用すれば、税金はゼロです。NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があります。どの非課税枠も年を超えて繰り越すことができませんので、12月までの残り6か月で計画的に使い切るよう残り枠を確認しましょう。

なお、2023年度(令和5年度)与党税制改正大綱によると、一般NISAとつみたてNISAは2023年12月で買付終了となりました。2024年1月から新たに抜本的拡充されたNISAが始まります。ジュニアNISAについては、事前のアナウンスとの通り、2023年末で廃止になります。

●2023年末で一般NISAとつみたてNISAが終了、2024年から統合NISAが開始
一般NISA・つみたてNISAは、2023年に買付が終了となり、2024年から新しいNISA(以下、統合NISA)が始まります。今までのように非課税保有期間を設けるのではなく、無期限化になります。また、口座開設可能期間の期限がなくなり、NISA制度そのものが恒久的な制度に変わります。

統合NISAでは、一般NISAの機能「成長投資枠」とつみたてNISAの機能「つみたて投資枠」が合わさった制度となり、併用可能です。投資枠は、成長投資枠は年間240万円、つみたて投資枠は年間120万円です。合計投資枠が年間360万円というのは、英国ISAの約335万円を上回る規模になります。

ただし、年間投資枠とは別に一生涯にわたる生涯投資枠が1800万円に設定されます。成長投資枠については、内1200万円が非課税限度額です。なお、現行の一般NISAやつみたてNISAについては、2023年(令和5年)末で買い付け終了になりますが、その時点まで非課税口座内にある商品については、新しい制度での非課税限度額となる1800万円内で通算せず、別枠で取り扱いでき、今まで通りの取り扱いが続けられます。つまり、現行のNISAは運用益非課税の期間は無期限にはなりません。

●2023年末ジュニアNISA廃止
ジュニアNISAは、未成年者が対象の少額投資非課税制度です。2022年4月1日から民法の改正により、成人年齢が18歳に引き下げとなり、2023年1月1日からは対象年齢が0~17歳に変更になっています。しかし、ジュニアNISAの新規口座開設は2023年末で、制度そのものが廃止になります。

2024年以降は、それまでデメリットとしてあった18歳になるまで払い出しができないという制限がなくなり、18歳未満でも非課税での払い出しができます。この場合、利用中のジュニアNISA口座での運用を続けながら一部を引き出すのではなく、解約手続き後、一括で引き出すことになります。なお、2024年以降は、当初の非課税期間(5年間)の満了を迎えても、18歳になるまで引き続き非課税で保有できます。統合NISAを利用できるのは成人のみ、未成年は利用できないので注意しましょう。

■12月~1月に「源泉徴収票」が手元に届く

年末調整が終わる12月~1月には、源泉徴収票が手元に届くはずです。もし、確定申告をすることがあれば、源泉徴収票に記載された情報(給料の収入金額、源泉徴収税額、社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除などの金額)を記載(入力)する必要があります。また、住宅ローンを組むときなど、過去の分も含め提出する場合もあります。受け取ったら、きちんと保管しておきましょう。

■制度の終了、スタートの1年に

年末に向けて、節税に意識を向けた行動を着実に積み上げましょう。ふるさと納税を活用すれば、来年の住民税が安くなります。NISAは、2023年末で終了・廃止が決まっていますが、2024年からはさらに内容が充実した新制度に生まれ変わります。さらにお金を効率的に増やすことができるので、将来の安心につなげるよう準備しましょう。個人事業者やフリーランスの方は、インボイス制度が開始となる10月までに、免税事業者のまま継続するのか、課税事業者へ変更するのか、正しく判断するための制度理解を深めましょう。

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