はじめに

景気後退入りの兆候も

想定を超える過度なインフレに対して、FRBでは2022年実質ゼロ金利を終了し、2022年3月のFOMCから7会合連続で金利の引き上げが実施されました。11月のFOMCまでは0.75%のトリプル利上げが4会合連続で行われ、12月は利上げ幅が縮小したものの0.5%のダブル利上げとなっています。

米国の金融正常化、早期利上げの行く末を睨んで、2022年は株式市場が乱高下しましたね。米国の金融政策に振り回された年といっていいでしょう。

金利の引き上げは企業業績の悪化や景気後退を招く要因となりますが、利回り曲線のイールドカーブも2021年12月末時点では順イールドでしたが、2022年に曲線の傾きが緩やかになると、7月末には10年の利回りが3カ月を除く他の全ての期間を下回る完全な逆イールドカーブとなりました。

長期債の10年国債と短期債を比較すると、10年国債が短期債より利回りが高い状態が普通で、それが順イールドなのですが、逆イールドというのは短期金利が長期金利の水準を上回って、長短金利が逆転している状態をいいます。この逆イールドというのはリセッション入り、景気後退局面のシグナルの一つといわれています。

過去の景気後退局面の半年から2年前には必ず逆イールドが見られていることで、2023年以降に景気後退入りが予測できるといえるのではないでしょうか。

日本の年金運用も評価損

インフレ動向で重要な経済指標の発表は2023年も要チェックです。1月は6日(金)に雇用統計、12日(木)にCPIの発表がありますので、おさえておきましょう。

2022年は株式60%、債券40%という伝統的なポートフォリオのパフォーマンスが、100年間で最悪の結果になった模様です。Bloombergによると、米国の債券ファンドで2022年に損失を免れたのはたったの1%とのこと。100年間機能していたポートフォリオが機能しなくなっている−−つまり異次元の金融緩和など、これまで市場が経験してきていない事態によって、市場環境がこれまでの環境と変わってきているというリスクは認識しておいた方が良いのではないでしょうか。

日本の年金資金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、上半期で5.4兆円の評価損を計上しています。下半期で株安、債券安が進行したことによって、さらに損失額を拡大させている可能性もあります。

2022年は24年ぶりに実施した為替介入も大きなトピックスでしたね。為替介入の決定権は財務相にあり、神田財務官が介入の判断をして日銀がその代理人として実務を担う形となります。

円買いドル売り介入の場合、日銀が外貨準備のドルを民間銀行に売って円買い取引をします。民間銀行はドルを市場に売って円を市場で買うという取引をすることで円高方向に誘導します。9月と10月の円買い介入額は、あわせて9兆1,881億円にのぼりました。データの残存する1991年4月以降の円買い介入の合計額の4兆8,793億円を超える金額となっています。

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