はじめに

所得税

所得税の計算は1月分から12月分の収入金額や控除の内容などを、3月15日までに「確定申告」して、その日までに所得税を納付するのですが、給与収入のみという方は職場で「年末調整」をされて完結される方がほとんどです。ただし、1年の途中で退職した場合や、掛け持ちのアルバイトで2箇所目以降の場合は年末調整が行われません。

この年末調整は11月頃から用紙やデータが配布され、12月分の給与が確定した時点で1年分の税金を計算して引きすぎていた税金を精算してくれます。場合によっては、足りなくて12月分でも徴収されるケースがあります。周りはみんな還付されているのに、自分だけ還付されずに「嘆かわしい!」ということがなぜ起こるのかも解説します。

毎月の給与から天引きされている所得税の金額は、1年分の金額を12ヵ月でわった、その支給額と扶養家族の人数から決まっています。前年の年末調整の計算時に「養っている家族が1人います」と書いて出せば、所得税の計算で「扶養家族1名」として38万円控除を計算に含めて税額を求めます。大学生(19〜22歳)の子どもなら63万円控除ですからかなり金額が安くなります。

さらに、翌年1月から天引きする所得税(源泉徴収税額)は「扶養家族が1人います」ということを考慮した金額となるので、「扶養家族0名」で年末調整した場合より少ない金額が、毎月給与から天引きされることになります。ところが、4月からこの扶養家族が就職してガッツリ稼ぐので扶養から外れたのに、会社に報告することなく、そのまま「扶養家族1名」として毎月の給与から天引きする所得税の金額を計算すれば、本来扶養している家族が0名なのに「毎月の税額が安すぎて、年末になってみると足りなかった」ということがおこります。

1月や4月になると環境が変わる方も多いと思います。そんな節目には扶養のチェックをしてください。

住民税

住民税は所得税の計算結果をもとにお住まいの自治体が計算します。1月から12月分の収入や控除の内容をもとに計算した結果は、翌年の5月ごろに納付書が届きます。会社員の方は会社に納付書が届き6月分の給与から新しい金額で引かれることになります。毎月給与明細を見ている方は、6月で金額が変わっていることに気づいたこともあるかもしれませんね。12ヵ月で割った税額の端数分は6月に少し多めに納めて、7月からその翌年の5月まで同じ金額になります。

控除のチェックのタイミング

所得税の計算で出てきた扶養控除のほかにも、さまざまな控除の確認時期があります。1つは、生命保険料控除の控除証明のハガキが届く10〜11月頃です。年末調整の資料提出に間に合うようこの時期に届きます。

1月から12月までの支払い金額がハガキに記載されていますが、実際に控除を受けられる金額は、12月までの支払額です。控除証明ハガキに「現在までの支払額」と「12月まで支払った場合の金額」と2つの金額が記載されている場合は、「12月まで支払った場合の金額」を使って計算することができます。途中までの金額を書いて「控除された金額が少なかった、なんて……嘆かわしい!」とならないよう、気をつけてくださいね。

また、年末が近くなり「今年は歯の治療や入院など、医療費がかさんだな」という方は、医療費控除という控除を使って税額を減らすことができます。かなり医療費を使ったような気がするのに、領収証を集めていなくて「いくら使ったかわからない……」という方は、1〜2月ごろに届く「医療費のお知らせハガキ」を確認してください。

健保協会によって発送時期が違い、1年間の集計期間も違うのですが、ハガキに掲載されている1月からの医療費については、領収証がなくてもその内容を領収証代わりに使うことができます。ハガキに9月分までの医療費が書かれていれば、10〜12月分のみ領収証を探してハガキの内容にプラスすれば、1年分の医療費の合計額がわかります。10万円を超えていれば医療費控除の適用がありますので、手続きすれば税額を安くできます。

医療費控除は年末調整では控除の処理をすることができず、必ず確定申告で控除してもらわなければなりません。年内に医療費の集計をし忘れた方も、お知らせハガキが届いたタイミングで、医療費控除が受けられるかどうか確認するとよいでしょう。

また、医療費をそれほど使っていなくても、普段から健康に気遣っているという方のための「セルフメディケーション税制」という控除もあります。お住まいの自治体が行う健康診断や、薬局で買った医薬品(パッケージに「セルフメディケーション税制」のマークあり)を購入した金額も対象になります。医療費控除と同様に確定申告で手続きが必要ですが、医療費控除かどちらか一方しか適用できません。こちらは12,000円を超えた部分が控除になりますので、年明けにでもあわせて確認しましょう。

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