はじめに
リスクとリターンは比例する
投資における大原則は、「リスクとリターンは比例する」ということです。
ここでいう「リスク」とは「危険」という意味ではありません。投資の世界で「リスク」とは、投資対象の市場価格が変動すること、価格の変動率を指します。「リスクが高い」とは「価格が大きく変動する」ことであり、「リスクが低い」とは「価格の変動が小さい」ということです。 価格の変動が小さいほど、期待リターンからの変動も小さくなるため、安定した運用ということになります。
【画像】運用目的別の資産配分例(イメージ)
したがって、価格が大きく変動するものはリターンと損失がそれぞれ大きくなる可能性があり(ハイリスク・ハイリターン)、価格がそれほど変動しないものはリターンも損失もそこそこにとどまる(ローリスク・ローリターン)、ということです。
さらにいうと、リスクとリターンは「正確に比例する」わけではありません。 基本的には投資商品の「期待リターン<想定リスク」となり、常に損失が出る可能性もあれば、想定以上に利益が出る可能性もあります。
リスクよりもリターンのほうが高い商品は「お買い得」ですが、オープンな市場では極めてイレギュラーです。 人気のあるIPO(新規公開株)などは、利益が出る可能性が非常に高いといえますが、誰でも自由に購入できるわけではなく、抽選であったり支店の営業員からの配分でしか購入ができなかったりします。
例えば、期待リターンが年3%の金融商品と、同じく年10%の金融商品があったとき、多くの人は10%の金融商品のほうに注目しがちです。しかし、期待リターン10%の金融商品には一方で20%の価格変動のリスクがあり、期待リターン3%の金融商品は、5%の価格変動のリスクだとしたらどうでしょう。
安定した運用を考え、しかも長期的な運用を行うなら、期待リターン3%で予想リスク5%の投資対象のほうが、予定通りに投資目的を達成しやすいでしょう。
もしかすると年10%のリターンが続く結果になる可能性もゼロではないですが、それは一時的なラッキーであり、ギャンブルのようなものです。
「リスクとリターンは一時的に乖離すること(特にリターンがリスクを上回る場合)もあるが、結局は一定のところに落ち着く」 という想定をぜひ頭に入れておいてください。