はじめに

保険料ギャップに驚きの声

65歳の誕生日を迎えたひとからこんなご相談を受けました。

「65歳の誕生日を迎え、介護保険証が送られてきた。一緒に介護保険料納付のキップが送られてきたが、月2万円も払う納付書で驚いている。間違いではないか?」
というものでした。

ご相談者は協会けんぽに加入する小さな法人の社長で、今までも介護保険料は役員報酬から天引きされていました。住んでいる地域の介護保険料は1.64%。事業主と折半ですからその半分の0.82%が介護保険料として毎月引かれていました。その金額は2,296円。わずかな保険料ですので、40歳になった時もあまり意識せず、今に至っているとのことでした。

ところが、65歳になり送られてきたキップは月額19,800円。なぜこのような金額になったのか、信じられない様子でした。64歳までは月給や賞与、役員報酬に保険料率をかけた保険料ですが、65歳になると前年の合計所得金額から計算される仕組みです。この社長さんは、役員報酬の他に不動産収入があったため、保険料が跳ね上がったというわけです。

社長さんがお住まいの青森県弘前市の基準額は81,090円。この基準額に所得に合わせた13段階の係数が設定されています。係数は0.3~2.3までかなりの幅。社長さんの段階は11段階に該当し係数は2.1でしたから、基準額は81,090円ですが、係数をかけると170,290円。9月がお誕生日ですので、年度替わりの3月までの7か月分の保険料は99,300円。送られたキップは7か月分を5回分割で払うキップでしたから、月額19,800円になってしまったようです。

以下、弘前市の介護保険料所得段階表を掲載しました。参考にしてください。

青森県弘前市介護保険料所得段階表(令和3年度~5年度)

基準額(弘前市の平均的な保険料)=81,090円

この例は特別かもしれませんが、65歳ではまだ働いて収入を得ているひとが多い現在では、保険料がいっきに上がり驚くひともいるのではないでしょうか。

4月からは年金から天引きされる介護保険料。「年金の受取額ばかり気にしていたが、引かれていくことを考慮に入れていなかった」と社長さんは話していました。

働き続け就労収入がある場合でも、65歳以降のライフプランには変化が見られます。老後設計を見直してみるタイミングでしょう。

地域により大きな差も

各市町村の基準額は3年に1度見直されます。現在の保険料基準額は令和3年~令和5年度の3年で全国平均月額は6,014円です。市町村の財政状況、高齢者人口、要介護認定率などにより、大きな地域差があります。

高額保険者は、東京都青ヶ島村の月額9,800円。低額保険者は北海道音威子府村と群馬県草津市が同額で月額3,300円でした。月額6,500円の差は驚きです。老後、移住を考えるようなことがあれば、長く払い続ける介護保険料も選択材料のひとつになるのではないでしょうか。

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