はじめに

部長も課長も役員も、全員を一気に納得させる資料の作り方とは?

「部長用」「課長用」と作り分けて資料が増えていく「肩書カスタマイズ」

「課長はこういう資料が好き、部長はこういう資料が好き……」

そんなことを考えて、つい、別々の資料を作ってしまうことがあります。

自分はそんなつもりはなくても、上司から「いいか、部長から決済をもらうには、こういう資料ではダメだ」とか、「課長は感情の人だから、もっと、やる気が伝わってくるような資料にしてくれ」なんて言われることもあるでしょう。

いつの間にか、 階層別に資料を作り分けることが当たり前になってしまう「肩書カスタマイズ」に陥っていて、 なんだか、「資料を作ることが目的になってしまっている」のです。

私の調べでは、不幸なことに6割の人がこの落とし穴にハマっています。

でも、冷静になって考えてみてください。

1つのことを決済してもらうために、複数の説明資料を作るなんて、非効率以外の何ものでもないと思いませんか?

いったい、どうしたら、この「同じ資料を相手によって作り分ける」というムダから抜け出せるのでしょうか。

解決策

まず、 「ターゲットである決裁者は1人しかいない」という事実 を思い出しましょう。

たとえば、最終ターゲットである決裁者が役員であるなら、極端に言えば、その前にいる課長や部長に気に入られるための資料を作る必要はありません。

資料の目的は、ターゲットに動いてもらうこと!

大切なのは、「資料づくりは、目的ではなく手段」だということです。

ですから、ターゲットに気に入ってもらえる資料を作ればいいのです。

決裁者が役員であるなら、 上司である部長、課長も、「早く役員の決裁を取りたい」というのが、共通の思い のはず。それを達成したいために、あなたが作った資料に、いろいろとイチャモンをつけてくるのです。

ですから、あなたがそこを理解して、「○○役員の決裁をいただくために、こういう資料を作りましょう」という提案をすれば、課長も部長も「わかっているじゃないか」と、肯定的に受け入れてくれるはず。

「何のためにこの資料を作っているのか?」→「役員に決裁していただくため」→「だったら一番の近道として、役員向けの資料を作成しましょう」という流れです。

言わば、「役員の決裁を得る」という山登りの頂上を、最初に上司と確認し合ってから資料を作るのです。

そうやって、決裁者が好きな「簡潔な説明資料」を作って、実際に決済がいただければ、それが実績になります。

実績ができたらしめたもの。

「これからは、いつも、役員に決裁していただく資料は簡潔に作りましょう」と、上司にそんな提案ができる土壌が整うわけです。

提案しやすい土壌ができたら、会議の発表資料と同じように、たとえば、 「決裁者への説明資料は全部で3枚にする」という提案をしてみてはいかがでしょう。 上司も見るのがラクになりますから、意外とあっさり受け入れてくれるかもしれません。

「そんなにうまくいくの?」って思いましたか?

私が815社の企業とお付き合いしてきた経験から言わせていただくと、上司たちも、膨大な資料づくりが残業の温床になっていることを理解しています。 それに、できる社員ほど、「説明資料は3枚です」とコンパクトにまとめるのが上手なものです。上司も「説明資料を30枚作りました」なんて言われるよりも、そのほうがよっぽどラクだとわかっているのです。

資料を作る自分も、中身を確認する上司も、それを見て判断する決裁者もラクになる「資料は3枚まで」というルール。ぜひ、提案してみてください。

そして、承認してもらえたら、「ご理解いただきありがとうございます! これからは、この3ページのひな型を使いましょう。ほかのメンバーとも共有しますね」などと伝えてチーム内で展開すれば、上司のあなたへの評価も上がるかもしれません。

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