はじめに
9月30日に開催されたマネーフォワードとマニーク共催「私らしく生きる。女性のためのライフ&マネーセミナー」で、金融ワカラナイ女子のためのコミュニティ「きんゆう女子。」を運営する鈴木万梨子氏と、マネーフォワードの瀧俊雄が対談しました。
鈴木氏も瀧も「お金と使う人の垣根をなくす」という意味で、目指すゴールは同じ。では、両者が考える「これからのお金の向き合い方」とはどのようなものでしょうか。
お金には「話題にしちゃいけない雰囲気」がある
瀧氏(以下、瀧):マネーフォワードの瀧でございます。本日は土曜日の忙しいところお越しいただきましてありがとうございます。
今日は私が最初に20分ほど、お話しさせていただきます。私はマネーフォワードという会社で働いていて、「マネーとの付き合い方」というど真ん中すぎるテーマを持っているんです。Fintechという難しい言葉も流行っていますが、その中で基本的にお伝えしていきたいことがあります。
結論だけ先に言ってしまうと、我々はもうちょっと不安というものを見える化したり、科学することができたりするんじゃないかということ。皆さまにも今日お伝えしたいのは、自分というものが一番の資産ですよということ。それをできる限りわかりやすいカタチでお伝えしたいなと思っています。
また、私は少し固めに話しますが、その後の鈴木さんは柔らかく話してくれる予定です。その後、30分ほど2人で対談するようなカタチで進めさせていただきます。よろしくお願いします。
マネーフォワードをひと言で言うと、「お金の専門家的なイメージ」がある会社だと思います。しかし、社内の人間と話していていつも言っているのは、「お金には難しい部分が確かにあるけれど、他人とそれについて話しちゃいけない感があるよね」です。これがけっこうつらいなと思っていることです。
私は家計簿の会社を起業した人間ですが、我が家の家計について妻と話すとき、かなりの確率で険悪なケンカが生じるんですよね。かといって、親に相談できるかというと、我々の世代でやってきたことがあまり役に立たないところもあります。そういったことに該当する方もいらっしゃる気がします。
失礼を承知で申し上げると、例えば「三菱系大企業に入ったら、あとは大丈夫」みたいなものがかつてはあったと思います。でも今は、そうでもないと思います。それよりも自分で稼ぐ力を身に着けている人のほうが安定しているように見えることがありますよね。
なので、いろいろ勉強しても、いろんな専門用語を知り、当社のメディア「MONEY PLUS」を読み漁っても、わからない部分がすごく残るわけですよね。
お金と向き合う「金融教育」
瀧:「では、瀧さんは資産運用がしっかりできているんですよね?」と言われると「いや、それはまた…」みたいなところがあります。私、けっこういい教育を受けてきたつもりでいるのですが、それでも「私は100点でやっていますよ」となかなか言えないところがあります。この「わかっていてもわからない」みたいなもどかしさをなんとかしたいなと、いつも思っています。
それはなぜか。やはりお金とはある程度は丁寧に向き合っていかなければいけないところがあると思っているからです。
こういったことをよく「金融教育」と言われます。社会人になって大学で学ぶ、みたいな話がよくあるじゃないですか。
今までの日本では30年くらい、いろんな金融教育を試していたんです。でも、まだ鉄板になるようなものは出ていない。だから年齢を下げて、例えば高校生に授業をしてみたりしています。
高校生向け授業は、結論から言うとわりとうまくいったんです。なので調子に乗って幼稚園とかでも授業してみたところ、これは大失敗でした。最初の15分だけ集中してくれましたが、その後はみんなで僕のパソコンを奪って「うんち」とか検索し始めて…。本当にダメだったんですよね。
お伝えしたいのは、高校生に向けてなら「18歳からのマネーフォワード」みたいなタイトルでお金についてわりとフランクに話せるんです。お互いに給料とかないですし、「お父さんの給料を知っている人?」というと、わあっと手が挙がったりする。タブーがあまりない世代なんですね。
社会に出ると、いきなりそういったタブーが出てくるからだんだん相談しづらくなるわけです。