はじめに
「結婚には430万円かかります」のウソ
瀧:それともうひとつ、「不安についてもう少し科学しましょう」「見える化しましょう」という話です。
世の中にはウソがたくさんあるんですよね。私が最大の嘘だと言っているのがこれです。「結婚には430万円かかります」。それっぽいゼクシィさんの数字もあるでしょう? ウソというか、誇張していると思うのですが。
日本のFP協会さんというわりとお金のプランニングを専門で行っている機関が出した資料でこういった内容を取り上げていて、ちょっとネガティブな気持ちがあります。なぜかというと、結婚はタダでできるからです。
この紙(婚姻届)をもらってくるのは足です。それを使えば、タダです。あとは4カ所にスタンプを集めてくる。それで婚姻関係ができるんです。
だから、430万円じゃないんですよ。ほとんどタダ、電車賃くらいでいけるじゃないですか。このことは、私はすごく大事だと思っています。「結婚ってなんでするんだっけ?」「そもそも一緒に住んでいて心の間では契が交わされている」「それを法律上での婚姻関係にする差とは?」と、わからなくなってきているんですね。
一緒に住めばほとんど事実婚状態で、お互いが死んでも生まれる権利関係は変わらなかったりします。だから「結婚ってなんだ?」みたいな話になるんですよね。
ただ、法律的な結婚という制度があることで、逆に契を結びやすくするのかなと思っています。私がよく申し上げる例では、人魚姫などで「明日までに求婚しないと泡になります」みたいなものがあるじゃないですか。私は、人生はそんなものだと思っているんです。
仮に運命の人がいて、アンデルセンがもう少し猶予をくれて「3年間、待ちましょう」「3年以内に求婚してください。ただし、あなたには貯金がありません」という状態だったする。そのとき、我々は先ほどの数字をもとに求婚するだろうか、という話があります。
私は、そうではないと思っているんですね。3年間付き合っているけれどなにもアプローチがなければ、多くのケースで諦めます。というか、事実上、その人が泡になったりするんじゃないでしょうか。だとすると、これってなんだっけ? みたいな話になるんです。
このグラフをすごく丁寧に考えていくことで「資産を別に増やしましょう」「ガンガンいきましょう」みたいな話ではないのですが、自分にとってのお金の関係がよく比較して見えてくるのではないかなと思っています。
不安なシナリオを書き出してみる
瀧:もちろん「老後にいくらくらい必要だ」といった計算の話もあります。それはマネーフォワードのアプリでもいろんな選択肢が示されていると思います。
どういった生活を送れるのか。例えば、遠方の実家がゴーストハウスみたいになっている場合です。一番厳しいケースだと、親を介護するために仕事を半分くらいにしている状態。そうこうしているうちに、パートナーも疲れてくる…みたいなものです。不安の不安の不安みたいな積み重ねがあるわけです。
かといって、すべてにおいて自暴自棄になるわけではなく「そうなったとき、何をすればいいのか」など、あえて先に起こりうる不安なシナリオを考えておくことで「今生きていてよかった」という状態になれたりします。
そういったものを1回書き出してみる行為は、マニークさんのようなパートナー…パートナーというか金融のアドバイスを受けられる場所で聞いてみるというのもありだと思います。または、自分で書き出すだけでも、すごくいいドリルになるんじゃないかなと思っています。
収入を増やす、支出を減らす、お金に働いてもらう
瀧:あとは正直つまらない話ですが「貯金しましょう」という話なんですよね。
貯金できている人は、世の中でそれほど多くないんですよ。マネーフォワードのユーザーさんを見ていても、非常に有能な家計と、そうじゃない家計もありありです。マネーフォワードを使っている人は、比較的お金に関してしっかりしている人たちだと思いますが、それでもなかなか貯まるもんじゃないんですよね。非常に耳が痛いわけですよ。
お金を増やすためには「収入を増やす、支出を減らす、お金に頑張って働いてもらうか」の3択です。でも事実上、収入を増やすというのはなんらかの副業や友達の会社を手伝うといったことが発生するか。また、支出を減らすことに関しては、自分の今の携帯代くらいしか下げられるものがないなと思っていたりするわけです。
そういったとき、皆さんはマネーフォワードを使われている方々なので、そういった意味ではもう1回見直してください、ということだと思うんです。
家計は“粗く”把握
瀧:毎月の数字の流れを、改めて見てみてください。マネーフォワードをiPhoneやAndroidそれぞれでお使いかと思いますが、同じIDとパスワードでWeb版も見ることができるんですね。
Web版サービスの支出推移画面は、無料ユーザーでも見られます。これは自分に対して「自分はなんだろうか」を丁寧に教えてくれるんですよ。
例えば、(スライドを指して)これは私の本当の家計簿ですが。1ヶ月だけ明確に赤字になっている月があります。これは、住宅費の更新月で、1ヶ月余計にお金を支払うイベントがあったからなんです。あと、けっこう食費がかさんでいます。私、食費が13万円くらいいく月があるんです。「それはやばいよね」という話しがあったりします。賢い方は13万円からの棒グラフで計算して年収などを予想していると思うのですが。
私は「粗い把握」をとにかくおすすめしています。なぜかというと、(スライドを指して)本当に見づらくて恐縮ですが、「家計簿が苦手です」と世の中の多くの人が家計簿で挫折しているんです。その一番の理由が……これは著作権上みなさんの配布資料にはないですが、某ドラえもんというアニメのキャプチャです。野比家のお母さんが家計簿をつけて、毎月末に頭を必ず抱えるという謎の選定があります。
私は家計簿で失敗している一番の理由がすぐわかります。それは、字がきれいすぎるということなんですよ。すごく丁寧につけるというのは、家計簿が続かない一番の理由だったりします。細かく100点の家計簿があるはずだと。人間の家計簿が続かない多くの理由は、こだわりすぎみたいなところがあるからなんです。
家計簿は女性のほうが続かないのは、そういうところが強かったりします。なぜかというと、女性は男性より真面目にちゃんと家計簿をつけます。そうすると、マネーフォワードでの管理の時間に毎月10時間かかりました、みたいな話も出てきます。そうなると、ただのヤバイ人になるわけです。
マネーフォワードは、月3分だけでいい存在なんですよね。できるだけいっぱい使ってもらいたいですが、そんなに使っている人生もあまりうれしくない気がしています。
我々はほどよい距離のパートナーでありたいと思っているんですよね。そうなると、やはりこだわりすぎないことが大事かと思います。せっかく把握したのに、次のアクションで「ちょっと面倒くさい」となっちゃう。そういうところはぜひ粗い把握でやってみていただくのがいいかなと思います。
では、いったんここでバトンを鈴木さんにお渡しします。続きはトークのときに。鈴木さん、お願いします。
(中編に続く)