はじめに
「年齢」「お金」で検索してみたら…?
瀧:原始的な人間がいつも何を考えているかというと「17歳」「お金」で検索しているんですね。別に不安について検索しているわけではなく、年齢とお金で検索しているんです。皆さんもご自身の年齢とお金で検索していただくと、なかなか衝撃な事実がわかります。
17歳がお金で検索する目的は、基本的に欲しいものがあるときです。そして、だいたい手元にお金がないときです。だから家のものをメルカリで売ったりしてなんとかできないか、危なくないけど消費者金融からお金を借りたりできないか。非常に世の中を甘く見ている人がいっぱいそういった内容をブログなどに書いているんですよね。
18歳も19歳も同様です。みんな未成年なのでお金を借りられない、でも借りたい。欲しいものは夢のようにいっぱいある。でもお金がない。そこで未成年はもがくんです。
そして、晴れて青年になりました。権利を手にした20歳が何を考えるかというと「税金を払いたくない」というんですね。「なんか意味わかんない」「何これ?」「税金とか健康保険料とか別にいらないし」みたいな。すごく素直でいいなと思うんですね。
問題はここからなんです。我々人類はきっと社会人になったら社会性を身につけ、もっとリテラシーを高めるはずだと。では、25歳はどうかというと、多少責任感は伴っているんです。「貯金がない、どうしよう」みたいな。そこで都合のいい話で「読めば1億円貯められる本」とかあるじゃないですか。あればうちが商売していると思うんですよね。まだ人生を甘く見ているところがある。
さすがに10年後である35歳になったら、少しはなめている姿勢がなくなっているのかなと思います。当然、多少は真面目になっているんですよ。ただ「本当のあなたの貯金額はいくらなの?」「今日はグループワークなので横の人の貯金額を聞いてみてください」というと、やりづらいじゃないですか。みんなお互いに何をしているのか、やや牽制し合いながら感じているんですね。
正直、35歳も50歳も同様なんです。一番真面目です。「50歳で手を打たないと下流老人」みたいなすごいパワーワードも出てくる。下流老人なんて、2つくらいマイナスな単語が入っている感じがあってすごいですよね。
でも50歳は50歳で、いろんな資産があります。この年齢は本当にお子さんの教育費、場合によっては子どもが巣立つといった状況もあります。巣立った子どもが早くに結婚し、その費用を自分たちが持つと言ったシナリオもあるんです。
このあたりは、本当にある意味で「貯金ゼロだけど自宅はまあまあ」といった方がけっこう多かったりするんですよ。これを全部、年齢とお金で検索するだけで出てくるんですよ。これは、他人を追体験するうえで一番いいのかなと思っています。
やりたいことを叶えていくために、お金は必要
瀧:今日いらっしゃっている皆さまの層から離れますが、65歳になるとどう考えているのか。65歳で貯金ゼロの人はどうするか、私は生きていけるのか、というのはすごくいっぱい書かれているんですね。
とはいえ、65歳であればまだある程度は働き口があるわけです。むしろ、働いて体を動かしているほうが良かったりするケースもあると思います。
でも、やはり備えができていたらもう少し選択肢が多くなっているかもしれない、というのはあります。
私がすごく大好きなのが、この次の「80歳」「お金」で何が出てくるとかというと、カードローンにもう1回借りに行くんですよ。なんというか、これは人間のしぶとさというか、何度でも何度でも立ち上がってくる強さを感じるんです。
不思議なもので、カードローンを欲しがっている80歳はいるんです。ある種、救いのあるストーリーに感じると思うんですよね。
これは決して「なんでも大丈夫」という話ではありません。やりたいことを叶えていくためには、お金は当然必要なんです。けれど、人間は意外と働くことでなんとかなったり、周りに借金以外のカタチで頼ることもできたりします。なので、お金の話は、自分で人に相談できないときに、どうしても身の回りにあるものだけで解決しようとするんですけれども。
専門家への相談だけではなく、どこかにちょっとした救いの手はある。意外に使えるものはいっぱいあるのではないか。……すみません、モヤッとした話から入っていますけれども。つまり、人間の意外なしぶとさみたいなところを支えているのは、やはり人間なんじゃないかというのが、お伝えしたいことのひとつ目です。