はじめに

国会で議論される原子力発電所の再稼働

料金値上げの発表と同時に2023年3月期の業績予想も公開し、連結最終損益は3,170億円の赤字に転落、東電EPは燃料費調整単価の上限到達等の影響から経常赤字が5,020億円を見込むとしています。東電EPは純資産も急減しており、この状況が継続すると資金調達に支障が生じるおそれがあり、電気料金の値上げを実施させて頂くとしています。

東京電力が今回値上げ申請をすることで見直した総原価を前回(2012年〜2014年)と今回(2023年〜2025年)と比較すると、石炭CIF($/t)が145.9から381.8に上昇し、LNGCIF($/t)が860.5から1090.8に上昇、為替が78.5から140.1に円安が進行し、年平均で6,135億円増加するとしています。この指標は2022年8月から10月の平均値を参照しており、直近よりは原料安、円高となっているものの、依然として規制料金への転嫁上限を上回る状況です。

また、原子力の利用率も原価算定の前提として、柏崎刈羽原子力発電所については2023年10月から順次稼働するものと仮定して算出しています。再稼働時期について、現時点で具体的な決定ではないものの、同社は柏崎刈羽原子力7号機は2023年10月に、6号機は 2025年4月にそれぞれ再稼働すると仮置きした運転計画を織り込んでおり、 再稼働が実現すれば年間で3,900億円程度の値上げ抑制が可能としています。

先週1月23日(月)から通常国会が開会され、岸田首相は施政方針演説の中で最重要課題と位置づけた子ども・子育て政策に加え、原子力発電所の活用拡大や防衛力強化を推進すると発言しました。今国会において原発の運転期間を60年超に延ばすため、原子炉等規制法などの改正案が提出されました。また、2022年に岸田首相は次世代革新炉の開発・建設なども指示を出しています。

2011年の東日本大震災によって、原発再稼働への賛否はあると感じます。しかし、このまま電気料金が上昇していくと、企業がベースアップをしても景気浮揚は望めないと思います。

今一度、原発再稼働の議論をする時期だと切実に感じています。

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