はじめに
好調な企業2社は?
それでは好調な決算が目立った企業をご紹介します。まずはファミリーレストランチェーンのサイゼリヤ(7581)です。飲食業界は原材料や人件費の高騰が向かい風となり厳しい環境下にありますが、サイゼリヤは「値上げはしない」との方針を表明しています。
筆者も1人や家族でサイゼリヤによく行きます。一部人気メニューの数量が以前に比べて減らされるなど「実質値上げ」は行われている印象ですが、変わらぬ値段とおいしさはありがたい限りです。
そんなサイゼリヤの9-11月期の売上高は前年同期比27%増の431億円、営業利益は17億円と前年同期の2億円の赤字から黒字転換しました。実は日本セグメントはまだ赤字なのですが、その赤字が縮小したことに加え、中国などのアジア地域での売上高が大幅に増加したことが好調の要因です。株価は2022年秋からジリジリと上昇を始めると、1月11日の決算発表後に一段高となっています。
続いてもう一つ好調が目立ったのが靴の小売チェーン国内最大手のABCマート(2670)です。同社の9-11月決算は売上高が22%増の723億円、営業利益は62%増の90億円でした。国内・海外事業とも好調で、国内事業では外国人観光客(インバウンド)の売上が徐々に増えてきていることも発表されています。
決算が冴えなかった2社の共通点
一方で決算が冴えなかった企業ももちろんあります。代表的なのが無印良品を展開する良品計画(7453)です。9-11月の売上高は11%増の1,369億円と11%増加したものの、営業利益は55%減の50億円と大幅な減益となってしまいました。国内も中国も売上が思ったほど伸びきれておらず、原材料費の高騰や円安による仕入れ価格の上昇を吸収できなかったようです。ただ、明るい材料もあり、タイ・シンガポール・マレーシアなどASEAN地域での売上が好調で東南アジア・オセアニア事業は大幅な増収増益となっています。
また、大幅な年俸アップを発表し話題となったユニクロやGUを展開するファーストリテイリング(9983)も不調とまではいかないまでもやや冴えない決算でした。売上高は14.2%増の7,163億円と四半期として過去最高ですが、営業利益は2%減の1,170億円と小幅な減益でした。GU事業は増収増益を達成しましたが、やはり円安による仕入れ価格の上昇が厳しく国内・海外ともユニクロ事業は減益となってしまいました。