はじめに
決算発表後の株価の反応は?
予想はできたとはいえ、想像以上に赤字を掘ってしまった決算発表翌日の株式市場の反応はどうだったのでしょう? 非常に興味深く注視しておりましたが、株価1,236円(前日比−0.6%)とほとんど動じませんでした。つまり、FIFA ワールドカップへの莫大な投資に対して、投資家は受け入れたということになります。
同社は、2021年2月に配信スタートしたウマ娘の大ヒットにより、2021年9月期は営業利益1,043億(前年比3.1倍)という怪物的な数字で過去最高益を記録。その反動減がいまだ響いて、2年連続減益予想となっています。株価は、2021年6月を天井に下落傾向の冴えない動き。
ただし月足チャートで見れば、きれいな上昇トレンドを描いており、安値を結んだトレンドラインで切り返しそうに見えます。
画像:TradingViewにて筆者作成
初の株主優待制度を導入
今回の決算発表と同時に、初の株主優待制度導入を発表しました。100~499株で「ABEMA」プレミアム利用料3ヵ月無料クーポン、500株以上で12ヵ月無料クーポンです。赤字を出したタイミングで優待を出すなんて、という厳しい声もありますが、ABEMAのファン層を広げる効果はありそうです。
決算説明資料に「中長期で応援してもらえる企業を目指す」と記載されているように、これをきっかけに株主となり、さらにユーザーとしても長期的なお付き合いができることを望んでいるように感じます。時価総額の大きな企業は、とかく個人投資家を大事にしない傾向にありますが、時価総額6,000億超のサイバーエージェントが、個人投資家と友好な関係を結びたいという意志を表示したのはとても好感できます。
FIFA ワールドカップ効果は第2四半期以降に乗る?
今回の決算は10-12月の数字ですので、FIFA ワールドカップの影響は12月の1ヵ月しか乗っていません。実際に、その効果が数字に現れるのは第2四半期以降と考えられます。そのあたりの期待もあって、今回の決算発表後も株価は大きく下げなかったのかもしれません。
いずれにしても、次回の決算で藤田社長の「(赤字は)あくまでも一過性です」という言葉が真実だったかどうかが分かります。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。