はじめに

スタートラインはみな一緒。お金と投資について学ぼう

塚本:ということで、今回は私が作成に携わった、金融庁が公開している高校生向けの指導教材を使ってお話していきたいと思います。

有野:え~、先生、僕たちお金と欲望が渦巻く芸能界に揉まれてきたので、ドロっとした社会人向けがいいです!

酒井:ちょっと、芸能界のイメージが悪くなるようなこと言わないでくださいよ(笑)

塚本:お金のことって、これまで学んでいない方が多いので、高校生用でも十分、学べるんですよ。誰でもスタートラインは一緒ですからね。

有野:なるほど。確かにお金のことって人には聞けない雰囲気あるもんな。自分の単価とか聞きにくいし、聞いてスタッフから「え、有野さんは面白さより、金の方がいいんですか」って思われたらどうしよう……って、別にそう思われてもええのに、やっぱりアカン気がしちゃう。親兄弟の年収も聞いたことないし、これって昭和の感覚なのかもしれへんけど。

酒井:わたしも子どものころ、なんとなくお金のことってお父さんとかお母さんに聞きづらかった記憶がありますね。

塚本:日本では、子どもにお金の心配をさせたくないという考えがあるので、そういう雰囲気の家庭が多いのでしょう。でも、これからは家庭でもどんどんお金の話をしてもらいたいですね。ただ、実は大人もお金や投資のことをよくわかっていない方が多いので、子どもとどういう話をすればいいのかわからないのだと思います。今回の資料も、高校生たちだけでなく、その両親にも学んでもらおうという意図で作ったものです。

有野:自分で働いて稼ぐようになって、何にどれくらいお金を使えるっていう感覚は身についてきたけど、子どもが出来たら出費がとにかく多くて、働いて稼ぐってしか考えてこなかったから、お金を増やすってことについては学ばへんもんなー。教わる場所もないし。

塚本:令和以降は、いかに自分の資産を守り、増やしていくかがすごく大事になってきます。いかに資産を上手に運用していくか。これを学び、意識していく必要があるんですね。なぜだかわかりますか?

酒井:えっと、老後に受け取る年金の額が減ったり、受け取れる年齢が遅くなったりする可能性があるから……ですよね?

有野:おっ、さっそく先月の授業で勉強したことを披露してるやん。

酒井:当然です! 有野さんと違って、ふざけずにちゃんと授業を聞いていましたからね。

有野:また失礼なこというなぁ(笑) 僕だってちゃんと聞いていました! 酒井瞳は個人事業主かどうかもわかっていない、ですよね。

酒井:そこは覚えなくて良いところです!(笑)

塚本:酒井さんのおっしゃったこと、半分は正解です。もう1つ、日本では1990年の不動産バブル崩壊後、長くデフレの時代が続いてきましたが、今後はインフレの時代が到来する可能性が高いからです。デフレとインフレってなにかわかりますか?

有野:そういえば、ニュースでもデフレデフレってよく聞きましたね。デフレ宣言されると安く牛丼が食べられるんですよね。

酒井:もう、またふざけてる!

塚本:いえいえ、有野さん、だいたい合っていますよ。

有野酒井:えぇ!?

有野:……ほらほら、学級委員を舐めるんじゃありません!

酒井:自分だって驚いてたクセに(笑)

有野:先生、どう言うことですか?

酒井:結局、先生に聞いちゃってるし……。

塚本:デフレは、モノやサービスの価格が下がることで、相対的に貨幣の価値が上がることです。需要が減り、モノが売れなくなることで、価格が下がる。価格が下がることで企業の儲けが減り、賃金が下がる。賃金が下がると人がモノを買わなくなるので、需要が減る…という「負の連鎖」が起きるわけですが、これを「デフレスパイラル」と言います。日本はバブル崩壊から30年以上たってもなかなか物価が上がらず、デフレの負の遺産に苦しんできました。

有野:でも先生、いま逆に牛丼の値段がすごい上がっていますよ。これがインフレですか?

酒井:そうそう、プロテインもかなり上がってて……トリ胸肉なんかも高くなっていますよ。

有野:そういえば、酒井ちゃんはトレーニングが大好きやもんね。普段から高タンパク低脂質のインフレトレーニングですか?

酒井:なんですか、インフレトレーニングって

有野:筋トレの合間合間にインフレ入れるんでしょ?

酒井:筋トレの合間に入れる休憩はインターバルです、全然違います! でも、インフレは起こってるってことですよね、先生。

塚本:お2人がおっしゃる通りです。いま、コロナ禍で物流が滞ったり、ロシアによるウクライナの侵攻や天候不順が起きたりしたことで、原油や天然ガスエネルギー価格が急騰し、それによって世界的なインフレの時代に突入しているんです。いまは経済がグローバルでつながっているので、日本もその例に漏れず、インフレが巻き起ころうとしています。

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