はじめに
不労所得化することができる
会社を買収することで、不労所得を得られる可能性もあります。不労所得とは、労働せずに得られる所得のことです。
すでに利益を生み出している会社であれば、会社自体が自分の所得を生む状態をつくりだすことができます。自分は働かず、会社が働いて、所得を得る、ということです。
ビジネスの勉強になる
実際に経営者になり、事業を運営することほど手触り感が得られるビジネスの勉強はないでしょう。ビジネス・パーソンとして部分を執りおこなっていたことと、経営者として全体感を捉えることは決定的に違います。
時間を買うことができる
一般的にM&Aは時間を買うことができると言われます。既にある程度でき上がっている事業や会社を買うことで、買収企業がそれまでに培ってきた時間を一気に手
に入れることができます。
こう書くといいことばかりに思えますが、リスクもあります。個人M&Aのデメリットや注意点についても記します。
買収企業の従業員や顧客のことを考える
購入する会社には、それまでに働いている従業員や、取引先やお客様がいます。
今までの社長から、いきなり見ず知らずの人が乗り込んでくるのをよく思わない従業員や顧客がいる可能性は、排他性が高い日本ではごく普通と考えるべきです。買収時には、関係者の感情面にも十分配慮する必要があります。
M&Aの理解が得られないと、優秀な人材が流出してしまうことは間々あります。また、M&A後に労働条件が変化した場合は尚更です。人材流出を防ぐためには、処遇の維持、評価や給与制度の見直し、将来の見通しなどの情報を共有し、従業員の理解・共感を得ることが大切です。
簿外債務に気を付ける
企業買収の際には、簿外債務に注意します。簿外債務とは、貸借対照表には計上されていない債務です。
中小企業では、税務会計を実施して決算書を作成します。その際に、利益をできるだけ少なくしようとすることがあります。中小企業の貸借対照表では、未払い給与や賞与・退職給付引当金などが簿外債務として計上されることになります。会社を買収する場合、当然ですが簿外債務も引き継ぎます。訴訟絡みの簿外債務がある場合もあります。リスクがありそうな簿外債務が確認されたら、買収は控えるべきでしょう。
会社が連帯保証人になっているかを確認する
被買収会社が連帯保証をしているかを調べなければなりません。小さな会社はオーナー個人が連帯保証をしたうえで銀行から借入をしているケースがあります。会社を買収すると、前オーナーが結んだ連帯保証も引き継ぐ必要があります。十分に注意が必要です。
この他にも、脱税や贈収賄に関わっていないかなどの確認は必要です。過度に恐れる必要はないと思いますが、十二分に気を付けて個人M&Aは進めるべきです。
会社は株主の所有物であり、投資家にとっては売り買いの対象です。上場企業であれば、市場で当該企業の株式を購入することが可能です。いっぽう、会社では顧客に対して価値を提供し対価を獲得する活動は、社員が行なっています。所有と執行は別物とはいえ、当事者がいるのは事実です。資金があれば会社は買えますし、そうなると労使間越境は実現しますが、経営者として執行することに徹底してコミットすることは絶対的に必要です。