はじめに
売り手と売買交渉をする
自分の希望する業種や事業を行なっていて、価格が予算内に収まっていて、価格も相場と比較して妥当な会社が見つかったら、売り手に対して売買交渉を申し入れます。「貴社を買いたい」という意向を相手に伝えるのです。マッチングサイトの場合は、相手にメッセージを送ることができます。
秘密保持契約を締結する
売買交渉を依頼したら、「秘密保持契約」を締結します。「秘密保持契約」とは、売り手となる会社が、売買の参考となる会社の情報を、買い手が外部に漏らさないようにする契約のことです。売買が成立するまで、情報漏えいがあってはいけません。
そのリスクに対応するためにも「秘密保持契約」の締結は必須です。
「秘密保持契約」を締結すると、対象となっている会社の基本情報や、行なっている事業に関する情報が細かく記載された資料(IM=インフォメーション・メモ)を閲覧できるようになります。IMに記載された内容を全て、丁寧に確認します。そして、買いたいと思ったら、買収対象の代表との交渉に移ります。
買収対象の代表と交渉
買収金額が数百万の場合は、概ね会社の売り手の代表者と直接交渉することになります。売り手側、買い手側の双方が、お互いの人となりや行なっている事業について理解を深める必要があります。近年は売り手側が高齢のため会社を手放すケースが増えていますが、売却理由を聞いたうえで、現状の事業運営や組織体制等も詳しく確認します。この段階で疑問点などがあれば、解消しておくことが大切です。そして、買収を行った後、自分がどのようにしてこの会社を経営していくのかのイメージを深めていきます。そのためにも、相手が信頼できるかどうかを、自分の目できちんと見極めることが大事です。
売買交渉では、会社の売買金額、従業員の雇用などのさまざまな重要事項を討議します。そして、交渉が成立したところで、「基本合意契約」を交わします。「基本合意契約」とは、最終契約の前段階で売り手・買い手が取り交わす合意書です。内容には譲渡価格、譲渡日、譲渡までのスケジュール等が含まれます。
買い手によるデューデリジェンス(買収対象企業に対する事前調査)
「基本合意契約」締結後、買い手はデューデリジェンスを実施します。デューデリジェンスとは、買い手が企業買収の専門家に依頼して、買収対象企業の事業を始めとする状況や情報を収集・分析・検討する手続きのことです。
買い手は、デューデリジェンスによって、企業価値を評価する際に必要な情報や、売買取引に必要な手続き、買収の支障となりうる事象などを把握します。
最終契約書の締結
デューデリジェンスの結果、買収する企業に問題がなく、基本合意通りに会社を買うことになれば、会社譲渡の内容や売買価格などを定めた「最終契約書」を締結します。
代金支払い
「最終契約書」の締結後、買い手は買収費用を支払います。支払いが完了した段階で、会社は買い手に譲渡されます。会社が自分のものになり、個人M&Aが成立します。
労使間の越境をしたことになります。
個人M&Aのメリットとデメリットを熟考する
会社を買うことはできそうだけど、思った以上に大変なこともありそう。そんなときには個人M&Aのメリットとデメリットを徹底的に考えます。ここからは個人が会社を買うメリットやリスクについて解説します。まずメリットです。
個人資産を増やすことができる可能性がある
個人M&Aのメリットは、個人資産が増える可能性があることです。買収によって資産を増やす内容は、役員報酬と会社売却が考えられます。
役員報酬を得られる
買収企業が既に利益を生み出している場合、役員報酬を得ることができます。ケースバイケースですが、今の収入より増えることはあり得ます。
会社を売却して売却益を得られる
買収した会社の経営状況を改善し、今まで以上に売上げや利益を伸ばし、成長させることができた場合、今度は売る側になることで、売却益を上げることも可能になります。