はじめに

1. FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策

皆さまご承知の通り、現在米国をはじめとして世界的に非常に高い物価上昇に悩まされており、米国の中央銀行にあたるFRBは非常にハイペースで政策金利を引き上げ(金融引き締め)ています。あえて景気を冷まし、物価上昇率を鈍化させたいわけです。ハイペースでの引き締めを受け、米国株は大きく調整し、また日米の金利差が拡大したことから大幅な円安ドル高が進行しました。

筆者の意見

市場では2023年の後半にはFRBが引き締めをやめ、利下げに転じるのではとの見通しもありますが、足元の労働市場の強さからすると、筆者は2024年にかけても簡単には利下げできないのではとみています。これは株式市場にはネガティブです。

2. 米国景気の行方

(1)と密接に関連しますが、米国景気がFRBの意図する適度な景気鈍化(ソフトランディング)で踏みとどまるのか、それとも大幅な景気後退(ハードランディング)に陥ってしまうのかによって、企業業績や株価の動向は大きく変わってくると思われます。

筆者の意見

現時点でハードランディングまではいかないと考えています。ハードランディングしない事自体は当然プラスですが、それによって市場が期待する金融緩和が行われないとすると株価にはネガティブです。

3. 新日銀総裁の金融政策の方針

4月に日銀総裁が現任の黒田東彦総裁から植田和男新総裁に交代します。これまで超大規模金融緩和を進めてきた黒田総裁から植田総裁に交代し、緩和から引き締めへの政策変更が行われないかなどが注目されています。植田氏は2月24日に国会で行われた所信聴取で、現在の政策は適切な政策であるとの表明をしており突然大きな政策変更をする可能性は低いと見られています。

筆者の意見

植田氏は上述の現政策に副作用があることにも言及していることから、引き締め方向のなんらかの政策変更があることは前提として考えておいた方が良さそうです。株価にはネガティブです。

4. インバウンドの増加

昨秋から外国人観光客の受け入れ再開が始まりました。すでに多くの方が訪日しており、関連銘柄の業績に好影響が出始めています。訪日が本格化するのは今年からであり、円安進行もあって日本が誇る高品質の製品やサービスは外国人にとって非常にお買い得状態です。

筆者の意見

外国人観光客による消費は今後の日本経済や関連企業の業績に大きくプラスに働くでしょう。関連銘柄の株価上昇にはチャンスがありそうで、ポジティブです。

ここまで見てきたように、経済や株価に影響を与える材料はポジティブ・ネガティブ様々あり、かつそれらが複雑に結びつき予想をすることは簡単ではありません。難しいながらもご自身の頭で考えて運用に活かすことは、投資成果を向上させる上で非常に重要ですので、ぜひトライしてみていただければと思います。

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