はじめに

子育てがひと段落してパートに

就職だけではありません。春から子どもが大学へ進学や、一人暮らしを始めるなど、子育てがひと段落して自分の時間が少しでき、「パートを始めようかな」「勤務時間を増やそうかな」と考えている方もいるのではないでしょうか? そんな時、気になるのが「社会保険の扶養」や「配偶者控除」です。

社会保険

社会保険の扶養に入るには、給与で1〜12月の年収が130万円以内(交通費を含む)なら扶養に入ることができます。しかし、パートの勤務先が従業員数101人以上の大きな会社なら、年収106万円が見込まれると「自分で社会保険に入ろうね」と言われてしまいます。パート先の勤務時間数など労働条件も影響しますので、勤務先で「社会保険の扶養内で働きたい」旨を伝えて、毎月いくら以内で働けばよいかを確認しておきましょう。

配偶者控除、配偶者特別控除

例えば、夫が主に働いていて、妻がパートという場合、夫の税額が安くなる「配偶者控除」という所得控除があります。かつては扶養控除と同様に、給与103万円というボーダーラインでしたが、年末近くなるとベテランパートの方々が「もうすぐ103万円になりそうだから11月と12月は休ませて〜」なんて言って、現場が大混乱ということもありました。

そんな問題を解消すべく、現在は配偶者控除に103万円の壁はありません。所得税の計算で引いてもらえる38万円の配偶者控除の壁は「150万円」です。

これは、給与年収103万円以内で受けられる「配偶者控除」とは別に、給与年収150万円以内でも同じ38万円の控除が受けられる「配偶者特別控除」という新しいルールが設定されたからです。おまけに、150万円を超えた瞬間に控除額が0円になるのではなく、少しずつじわじわと控除額が減っていくので、150万円ギリギリで抑えなくてもいいという制度になっています。

例えば、妻が153万円働いてしまったとしても夫は38万円控除が36万円控除になるだけです。夫の税率が10%だったとすると、所得税が2,000円増えるだけです。共働きが当たり前の時代になり、税制も、妻は働きたいだけしっかり働いても良いという仕組みに変わっているのです。

詳しくは、以前解説したこちらの記事をご覧ください。103万円を気にしてチマチマ働いていたら「嘆かわしい!」です。

ただし、注意すべき点が1つあります。

かつてあった「103万円の壁」に合わせ、企業ごとのルールで「配偶者手当」や「扶養手当」のボーダーラインを設定しているところも多いのです。また、手当の金額も会社によって様々ですので、金額があまりに大きいのなら103万円の壁を気にする必要も出てきます。

改めて、会社から支給される「配偶者・扶養手当」の金額や条件を確認して、どのラインまで働くのかを検討してもよいかもしれませんね。


新生活の準備に追われていると、お金の手続きや金額の見積もりなどを忘れて、あとで大変なこともあるかもしれません。年末調整で大きな税額を引かれることになったり、働く目標を明確にせず、扶養が飛んでしまっては「なんて……嘆かわしい!」です。

新生活に備え、お金の知識を身につけ、安心して春を迎えたいですね。

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