はじめに

コロナ前とガラリと変わった販売方法

コロナ前に記憶を戻せば、インバウンドで賑わっていた家電量販店では、ヤーマン専用の売り場がドーンと広く設けられていました。2016年、2017年、2018年の3年間で売上は40%、営業利益はなんと5倍に増益しています。当時の店販部門の売上比率は、全体の44%、ほか海外部門、直販部門、通販部門がありますが、圧倒的に店頭での販売が占めていました。

ところが、コロナで店頭販売が大きく落ち込み、その穴埋めを引き受けたのが海外部門です。主戦場は中国EC市場で、高価格帯の美顔器がかなり売れているようです。

海外部門の売上推移を決算説明書で確認すると、第2四半期の売上が①5,491(百万円)→②7,507(百万円)→③13,435(百万円)と一気に増加し、かつて王者だった店販部門の④3,791(百万円)と比べると3倍以上、全部門の売上の50%以上を占めています。

画像:ヤーマン「49期2Q決算補足説明資料」より引用

想像するに、同社にとってコロナ前のインバウンド需要は、まさに笑いが止まらないような商機だったと思われます。ところが一転、まったく店頭で売れない悪夢から、素早く次なる販売経路を拡大し、見事復活。いや、復活どころか、コロナ前の業績を飛び越え、2023年4月期は過去最高の売上、営業利益を更新予想です。

なぜか冴えない株価

一方、株価はといえば、過去最高益を更新予定のわりには、冴えない展開。過去の値動きを見ると、3回の大きな株価上昇時期があり、2018年5月、2020年11月、2022年6月に高値をつけています。ただし、1回め、2回め、3回めと徐々に株価の高値は切り下がり、勢いが衰えている印象です。

TradingViewより

株価チャートの下部分に表示されている出来高を見てください。この棒グラフが長いほど、活発に売買されていることになります。最初の盛り上がりを見せたときの出来高はとても活況ですが、その後は、そこまで盛り上がりを見せていません。

このように一度フィーバーした株は、その後、最初のフィーバーをなかなか超えられないといったことがよくあります。大ヒットを飛ばしたアーティストが一発屋で終わってしまうのと似ているかもしれませんね。継続的にヒットを出し続けるのがむずかしいように、継続的に株価を上げ続けていくのは、好業績というだけでは達成できないのです。

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