はじめに

お金を稼ぐことだけに執着せず、楽しむために使う

岩城:有野さんのように、自分の趣味や好きなことにお金を使うのは素敵なことですね。お金は、あくまで交換手段にしか過ぎません。ほかにも、友人や家族との関係など、人生で大事なものはお金のほかにもたくさんあります。ですから、資産運用のために手間や時間をかけるより、よりシンプルにしたほうがいいと私は思います。

三輪:だから、NISAのような用意されている制度で投資信託を買って、あとはほったらかしでいいってことですなんですね。

有野:確かに、20年はほったらかす事になるけど、「お金に働いてもらう」って言うもんなぁ。

岩城:その分、副業だったり趣味だったり、より時間を割けるようになりますからね。それに、いまは終身雇用が当たり前のサザエさんの時代とは違って転職する方も多いし、結婚しない方や年を取ってから大学に入り直す方など、人の人生も多様化しています。この先、自分の人生はどう進んでいくのか、それにはどれくらいお金がかかるのかなど、少し立ち止まって、長い目で考えてみてはいかがでしょうか。

有野:お金は交換手段にしか過ぎないか……。無人島に行ったら、お金なんてただの紙切れやもんなぁ。お尻を拭くくらいにしか役に立たんねん。コンビニもないし(笑)。

三輪:有野さんが言うとリアルですね(笑)

有野:いや、ほんまにお尻吹いてへんで、例えやで! 離島から戻ったら使えるもんね。

三輪:分かってますよ(笑) ほんまにお金でお尻拭くとか思ってませんよ!

有野:そうか。今や、どんな事で炎上するか分からんからな。

岩城:ただ、趣味や勉強にも当然お金がかかりますし、そういうお金も出費として計算する必要があります。いまは「リスキリング(仕事のために必要な知識やスキルを身に着けること)」が奨励されていますが、お金は自分の人生を豊かにするためにあるわけですから、自分が使いたい、使う必要がある場合には、どんどん使うべきでしょう。有野さんのゲームもそうですが、好きなことにお金を使うのって素晴らしいと思います。

三輪:有野さんは趣味が仕事になっていていいなぁ。ウチの子が『ゲームセンターCX』よく見てて、「有野課長みたいな仕事をしたい」って言ってます。

有野:「そんな仕事はない」って言うといて(笑) 夢壊すみたいやけど、「ゲームセンターC X興業」って会社はないから。先生、僕はFIRE(早期リタイア)をしたいんですけど、どう思います?

岩城:FIREは数年前から流行っていましたが、いまは慎重になる人も増えているようです。

有野:えぇ! なんでですか?

三輪:お金のために仕事をしていたのではなくて、仕事が生きがいだったって気付く人もいるんじゃないですか? 辞めたはいいけど、することがないと時間を持て余してしまいそうだし。

有野:なるほど。そうなんですか?

岩城:実はFIREを目指す多くの方は、FIRE後の収入として米国株の配当等をメインにしていますが、例えば人気のS&P 500という指数を見ると少し下がっていますね。長い目でみれば一時的な下落でしょうが、FIREをしてすぐに相場がドンと下がってしまうとびっくりしますよね。FIREをする方は投資のプロだと思いますが、今後のライフプランやマネープランをよく考え、しっかり計画を立てることが大切ですね。

有野:なるほど! あまり短期で考えると、想定が狂っちゃうこともあるということですね。FIREした人をうらやましいなんて思ってたけど、やらなくてよかったわ(笑) ちゃんとギリギリまで働こうっと。

岩城:もちろん人によりますが、お仕事をしていた方が人生にも張り合いが出ますし、安定した収入があったほうが、もしライフプランが変わったときでもそれに沿ったマネープランを作りやすいのは確かです。

三輪:芸能界だと、早く引退されてから、その後も上手くいっているのは上岡龍太郎さんとかですか?

有野:そやなぁ、上岡さんが上手くいってるって話を聞きつけた芸人が、その方法を聞きにいったら「絶対に仕事は辞めんほうがいい!」って言われたらしいで。

三輪:そうなんですね! 興味深い話ですね~。

有野:たけしさんとかタモリさんとか、さんまさんもやけど、芸人はニーズがある限りやり続けるって人の方が多いと思うで。芸能1本やと不安にもなるけど、休みの日に自分が得意な事を仕事にするって言うのもありやろうな。芸人しながら別の仕事も始めて、そっちが本業になるってケースもあるみたいやし。

岩城:40代くらいでキャリアチェンジする方も増えていますし、前職の経験を活かして二足の草鞋を履くというのも収入も安定して安心ですね。

次回(3月21日配信予定)は「家計を見直すポイント」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

三輪記子
東京大学卒業後、立命館大学法科大学院を経て司法試験に合格。2017年より第一東京弁護士会に所属。弁護士として法律相談、法的問題のセカンドオピニオンや交渉、調停、審判、訴訟の代理人などを務める。主に中小企業や個人事業主の顧問弁護士として活躍するかたわら、松竹芸能に所属し、テレビやラジオなどメディアにも出演。ゲストを交えて時事問題を法的観点から語るYouTubeチャンネル「みわたまチャンネル」も手掛ける。

岩城みずほ
MZ Benefit Consulting 株式会社代表取締役 オフィスべネフィット代表 NPO法人みんなのお金のアドバイザー協会〜FIWA 副理事長。放送局を経てフリーアナウンサーとして14年活動後、会社員を経て2009年独立。金融商品を販売することによるコミッションを得ず、お客様の利益を最大限に、中立的な立場でコンサルティング等を行っている。著書『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』など多数。

ライター:新井奈央 / 写真:文化工房

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