はじめに

投資を始める前に、3カ月分の生活費の預貯金を貯めよう

黒字家計になったとしても、すぐに投資を始めてはいけません。投資は、お金が増える可能性がある一方で、減る可能性もあるからです。不測の事態が起きてお金が必要になったとき、貯蓄がまったくない、投資でお金を減らしているとしたら、困ったことになってしまいます。

万が一に備えるためにも、投資を本格的に行うのは、6か月分の生活費を預貯金で貯めてからにしましょう。今回の例では、16.4万円×6か月=98.4万円ですから、約100万円です。ただ、いきなり100万円貯めるのは大変ですし、時間もかかってしまいます。そこで、当面の貯蓄目標として、まずは3カ月分の生活費を目指します。約50万円貯まるまでは投資はせず、預貯金を増やしましょう。

毎月貯蓄に回せる金額は2万円なので、毎月の貯蓄だけだと約2年かかります。いいかえれば、投資できるようになるまでに約2年かかるということです。これではちょっと時間がかかるので、ボーナスがある場合、ボーナスの半分以上は貯蓄に回したいところです。仮に毎月の2万円とは別に年2回、ボーナスを15万円ずつ貯蓄した場合、50万円は1年かからないで達成できます。

3カ月分の生活費を貯めたら、毎月の貯蓄金額のうち、数千円をつみたてNISA(2024年からは新しいNISA)に積み立てます。通常、投資の運用益には20.315%の税金がかかりますが、NISAでは非課税になるため、お金を効率よく堅実に増やせます。そのうえ、解約も自由なので、今後の結婚・出産・子育て・余暇資金など、さまざまな用途で使うお金を増やせます。

つみたてNISA(新しいNISA)で投資する商品は、全世界株インデックス型投資信託、バランス型投資信託からリスク許容度(自分が取れるリスク度合い)に応じて選びましょう。投資信託の選び方について、詳しくは以前の記事で説明していますので、合わせてご覧ください。

金融資産への投資が全てじゃない。自己投資にも振り向けよう

金融資産への投資を増やすことも大切ですが、特に新社会人のように若い方ならば、自己投資にお金を使うことも大切です。さまざまな経験を積んだり、勉強して資格をとったりすることで自分のスキルが上がれば、毎月の給与も上がるからです。

とはいえ、自己「投資」です。投資である以上、リターンを考えて行うことが必要です。費用対効果の低い自己投資は、無駄遣いでしかありません。

仕事ではよく「PDCAを回せ」と言われますが、自己投資でも考え方は全く同じです。お金も時間も無限にあるわけではありませんから、まずかけられるお金と時間を決め、いつまでにどうなりたいかの目標を立てる(Plan)。お金をかけた後(Do)、必ず振り返りを行って効果を検証し(Check)、また次に生かすこと(Action)が求められます。

一番シンプルな自己投資は本を読むこと。1500円くらいの投資で実際に成果を残した人の経験や教えが簡単に手に入るので、リターンがかなり大きいです。まずは月5~10冊を目安に読んでみてはいかがでしょうか。図書館を活用すれば、費用も抑えられます。

経済圏・ポイント投資も有効活用しよう

系列の多種多様なサービスを複数使うことで、サービスがより便利になったり、割引やポイントなどの特典を受けられたりする「経済圏」。経済圏を活用することで、買い物の節約につながります。

また、ポイントで金融商品に投資できる「ポイント投資」のサービスも。通常の投資と同じように利益・損失が出ますが、元手はポイントですので、現金は減りません。お金が少ないときに取り組みやすいのがメリットです。

たとえば、楽天グループが展開する「楽天経済圏」では、楽天関連のサービスを利用することで共通の「楽天ポイント」が手に入ります。しかも、楽天の各サービスの利用条件を満たすと「SPU」(楽天スーパーポイントアッププログラム)の対象になり、楽天市場で買い物した場合のポイントが増加します。楽天ポイントは、買い物のときに1ポイント=1円で利用できます。また、「楽天ポイント投資」では、投資信託や株式の売買に楽天ポイントを利用できます。

決済アプリ「PayPay」では決済時のポイント還元率は基本的に0.5%ですが、月30回300円以上・10万円以上利用で翌月の還元率が+0.5%となります。また、Yahoo!ショッピングでの決済はポイント最大5%還元になるほか、時期ごとのイベントやクーポンなどでもポイントがアップします。PayPayポイントも1ポイント=1円で買い物に利用できますが、「PayPayポイント投資」で米国企業に分散投資する「スタンダードコース」など5つのコースから選んで投資が可能。各コースの投資先の値動きに合わせて、PayPayポイントが増減します。

以上、社会人1年目の投資戦略を紹介してきました。社会人2年目からは住民税の支払いも始まるので、毎月の家計がさらにきつくなってしまいます。しかし、社会人1年目のうちから家計の節約、そして投資を始めて、お金が貯まる家計にしておくことが重要。長く続けることでお金は堅実に増やすことができます。何事も最初が肝心です。ぜひ取り組んでみてください。

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