はじめに

iDeCo併用は、年間を通じていつでも始めることはできますが、会社によっては申し出期間を制限しているところもあるようです。特にマッチング拠出かiDeCo併用かは、いずれか一方しか選べないため、マッチング拠出をやめてiDeCoにしたいという場合は、会社のルールを事前にチェックする必要があります。気がついたら年に1回の締め切りが過ぎていた、というお話もよく聞きます。

会社によっては、iDeCoの掛金を、給与天引きとするところもあります。天引きであっても自分の指定口座からの掛金引き落としであっても、税金のメリットは全く変わりませんが、後者の場合は年末調整が必要です。

iDeCoの掛金を給与天引きとすると、前段のマッチング拠出の際に説明したように、あらかじめ給与からその金額を課税対象から外す処理が行われるので、自動的に税金のメリットが受けられます。会社が手続きを代行してくれるので、国民年金基金連合会から発行される「小規模企業共済等掛金控除の証明書」も発行されません。

一方、指定口座から掛金の引き落としが行われる場合、iDeCoの税金に関して会社は何も手続きを行いませんので、年末調整の際に発行された「小規模企業共済等掛金控除の証明書」を会社に提出しないと、所得控除が適用されず、ご自身で確定申告を行うなど面倒が生じます。

iDeCo併用の際、iDeCoの掛金変更時にも注意が必要です。iDeCoは年に1回任意のタイミングで掛金の変更が可能ですが、DCとの併用の場合は会社への届け出も遅滞なくする必要があります。iDeCoの掛金が給与天引きとなっている場合はもちろんですが、個人の口座からの引き落としの場合でも、それによって月の上限額を超えるようなことにならないようチェックが入るからです。万が一超過した場合はDCが優先され、iDeCoの掛金は返金されますが、それでも手間は未然に防ぎたいものです。

先ほど最近は運営管理機関手数料が0円という金融機関が増えてきたと言いましたが、それでもiDeCoの掛金が小さい場合はやはり注意が必要です。iDeCoの最低掛金は5, 000円ですが、これに対し171円は3.42%に相当します。20,000円まで掛金が拡大すると、同じ171円でも負担割合は0.855%です。

最近は、新卒の方も就職前からiDeCoをしていたという方も増えてきました。また転職によりDCのある会社に就職し、ご自身のiDeCoをどうしたらいいのかというご質問をいただくことも少なくありません。

iDeCoは、DCと並行して継続することが可能です。その上で、DCのマッチングを選べばiDeCoへ掛金を拠出することができなくなりますし、DCの掛金が上限に達しているような場合もiDeCoへ掛金を拠出することができなくなります。

その際も、運用指図者として金融機関には手数料を払い続けるので、あまり運用継続のメリットがないと判断される場合は、DCに資産を移換することもできます。いずれにしても、DCとiDeCoそれぞれを理解した上での総合的な判断が必要です。

確定拠出年金は原則、1人一口座しか認められないのですが、例外的にDCとiDeCoだけは両方持つことが可能です。これは将来老齢給付をそれぞれから受け取れるという使い勝手の良さにもつながります。複雑ではありますが、適時専門家に相談しながらより良い選択をされるといいでしょう。

定期的な見直しを

資産形成に回せるお金は有限である以上、マッチング拠出なのかiDeCo併用なのかは、しっかりと見極めたいところです。またNISAの拡大を受け、資金を投じる先により、将来が変わる可能性が高まってきました。とはいえ、特に会社の制度を絡ませての資産運用は、いろいろ制約もありますし、会社への手続きの締め切りが設定されていることが多いです。すると、忙しさに追い立てられ、実行すべきことを後回しにしてしまう方も少なくありません。

でも、ご自身の将来を支える資産形成ですから、毎回時間切れとならないよう適切な行動は起こしたいものです。ぜひ定期的に自分の資産全体を見直す時間を設け、次のアクションを具体的に考えて備えておくようにしましょう。

常に自分のするべきことを考えていれば、行動も容易に起こせるはずです。運用商品の見直し、掛金の設定など、意識してみるといいでしょう。

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