はじめに
独身50代の平均貯蓄額は、1048万円
では、独身50代はどのくらい貯蓄があるのでしょうか。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)2022年」によれば、1048万円です。
この数字だけを見ると、多くの人が1000万円くらいの貯蓄は持っている、と思いがちですが、実態はそうではありません。
年齢別平均貯蓄額
詳しく見ていくと、最も多いのは金融資産非保有、つまり貯蓄ゼロが39.6%と最も多いのです。続いて貯蓄100万円未満が11.5%。平均値が含まれる、貯蓄700~1000万円は5.5%しかありません。一方、1000万円以上の貯蓄がある人は、22.4%です。
このように、平均値は必ずしも実態を表すものではないことに注意が必要です。貯蓄額のデータでは、少数の高額資産保有者によって平均値が大きく引き上げられることがあるので、実態を知るには、単純に合計を人数で割った平均値よりも、中央値を見ることが適切です。
中央値とは、数値の小さい人から大きな人まで並べた時、真ん中の人の値のことです。独身50代の平均貯蓄額は1048万円ですが、中央値は53万円です。
また、貯蓄がある人だけで見てみると、貯蓄額の平均は1775万円、中央値は610万円です。
つまり、独身50代の39.6%は貯蓄ゼロ、60.4%は貯蓄をしていてその金額は610万円前後の人が多い、という二極分化の状況になっているということです。
老後のことを具体的に考え始める時期に、貯蓄がないのは不安材料になってくるでしょう。
公的年金に加えて、iDeCoなどの自分で準備できる私的年金、シニア世代になっても続けられる仕事など、現実的な対策が必要になります。
東京都の独身女性の1カ月の支出額は平均17万1074円
続いて、1カ月の支出額を見ていきましょう。
総務省の「2019年全国家計構造調査(旧全国消費実態調査 )」によると、東京都の女性単身者の1カ月の平均支出は17万1074円 です。
そのうち、東京等の首都圏では家賃が大きなウエイトをしめる傾向にあります。公益財団法人不動産流通推進センターがまとめた「2022不動産統計集」 によれば、東京の賃貸マンションの家賃相場は上昇傾向で、2022年9月までのデータでは、ワンルームの家賃平均は7万4363円(6万5131円~8万3549円)、1LDK~2DKの家賃平均は10万9931円(9万5017円~12万4846円)です。
月の手取りが26万円で、ワンルームマンションの家賃が7万4000円とすると、4分の1を超えます。収入を維持できることを前提にすれば、無理なく支出できる範囲かもしれませんが、今後のことを考えると、収入源の確保や支出の削減など、何か対策をとったほうがいい時期でしょう。
1カ月の消費支出の内訳は、両調査をもとに考えると次のようになります。