はじめに

損害保険の「二重払い」に注意

塚越:民間の保険は、大きく3つに分けられます。1つ目が「生命保険」。定期保険や終身保険、養老保険など、ケガや病気、つまり「生死」に関係する保険です。2つ目が「損害保険」で、自動車保険や火災保険、賠償責任保険などですね。

有野:あれ? 先生、「がん保険」は1つ目の生命保険に入るんですか?

塚越:がん保険を含む、医療保険、介護保険など、多種多様な保険はすべて「第三分野」に分類されます。現在では、生命保険とがん保険が一緒になっていたり、損害保険と医療保険がセットになっていたり、3つの種類が組み合わさって販売されているのも珍しくありません。

有野:メチャクチャいっぱい種類がありますよね。「三大疾病を全部カバー!」なんて、テレビCMでよく見ます。

塚越:生命保険や医療保険は、重複して加入していても、2社から保険金をもらえますが、損害保険に関しては「実損填補(てんぽ)」が原則なので、実際の損失額以上は受け取ることができません。

有野:じっそんてんぽが原則……なんですかそれ? 異世界転生ものみたいな、新しい漫画のタイトルですか?

塚越:実際の損失額を上限として、保険金が支払われる方式のことです。たとえば、同時に2つの火災保険に入っていて、家の価値が3,000万円だったとしましょう。もし家が火事で全焼してしまった場合でも、保険金は3,000万円までしかもらえません。

有野:なるほどなぁ。確かに、それで両方から3,000万円ずつもらえちゃったら、自分で家に火をつける悪い人とか出そうやもんな。そうなると、やっぱり実損填補が原則ですね。損害保険側の保険、実損填補が原則。これ、どっかで言いたいな。それで、「それなんですか?」って聞かれたい。賢そうな言葉やな。

塚越:意外と見落としがちなのが、自動車保険などの「特約」。現在の自動車保険は、特約などで保険がカバーする範囲が広くなっています。「そんなに高くないし、この特約もつけておくか」などと軽い気持ちで特約をつけてしまいがちですが、もし他の損害保険に加入している場合は、気付いていないところで損害保険の内容が重複してしまっていて、「二重払い」になっているケースが少なくないようです。

有野:うわぁ〜、それはありそうな話やなぁ。自動車保険が更新するたび、なんかしら特約が増えてたりするもんな。じゃあ先生、自動車事故でケガをした場合、自動車保険と医療保険の内容が重複していた場合は、どうなりますか? 両方からお金もらえますか? まさか、実損填補が原則ですか? よっしゃ使えた!

塚越:「実損填補」方式はあくまで損害保険に関してで、医療保険は「定額給付」がほとんどなので、重複している部分が医療保険であれば、両方からもらえる可能性があります。

有野:良かった! でも、可能性か。加入してる保険次第ですね。そういえば、僕の母親が「府民共済保険」に入っているんですけど、僕のケガもカバーする契約みたいなんです。それで、僕が前にケガして入院した時に、オカンから「診断書送って~」って言われたから送ったんですけど、しばらくしてオカンから「保険金もらえたわ~」って連絡があって。なんで俺がケガして、俺が病院代払って、保険金はオカンがもらってんねん、って事があったんですけど(笑) 僕の保険は保険で入院費はもらえてるんですけど。これ良いんですか?

塚越:そういう契約になっているなら、ありそうな話です(笑) 受取人を指定できるのも、生命保険や医療保険のメリットというか強みですね。

有野:だからサスペンスドラマとかで、保険金をもらうために好きでもないオジサンと結婚して……なんて話が出てくるわけか。まぁ、保険料はオカンが払っているからええねんけど。なんか引っかかる。あ、診断書代くらい欲しい!

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