はじめに

保険でありがちな「よくある勘違い」とは?

塚越:生命保険や医療保険については、「よくある勘違い」というのが割と多いんです。

有野:さっきは「がん保険に入っても、がんにならなくなるわけじゃない」って言ってましたよね。自動車保険に入ったからって、事故起こさないわけじゃないって事。保険はあくまで備えですね。

塚越:それも、よくある勘違いの1つですね。がん保険を含めて、医療保険に入ってもケガや病気自体が減るわけではないんです。ほかに、家計における保険の考え方でも、勘違いをされている方が結構いらっしゃいます。

有野:どんな勘違いですか?

塚越:たとえば、住宅ローン。現在は、住宅ローンの名義人が亡くなられた場合は、ローンがなくなる保険が付いているものが多いんです。

有野:団体信用生命保険ですね。うちもそういう契約にしていますね。

塚越:仮に、亡くなられた名義人、夫の収入が30万円だったとしましょう。「30万円が丸々なくなるから、生命保険の金額も、月割りで30万円はもらえる契約にしないと!」と考えがちです。

有野:ん、それおかしいんですか? 自然な発想な気がしますけど。

塚越:旦那さんが亡くなった場合、確かにその分の収入はなくなります。その一方で、住宅ローンがなくなるうえ、夫名義の保険金やスマホの料金、お小遣い、その他、夫にかかっていた支出もなくなりますよね。つまり、月の支出がかなり減るわけです。

有野:あぁ、収入はゼロになるけど、支出も夫分減るのか。そう言われてみればそうやなぁ。収入がゼロに目が行きがちになりそう。僕の場合、ゲームソフト代とか、マンガ代とか結構な金額が浮くもんな。

塚越:住宅ローンが10万円、その他もろもろの夫関係の支出が6万円だったとすると、月16万円の支出が減ることになります。つまり、亡くなる前と後で比較すると、あと14万円をカバーできれば、生前と同じ水準の家計が保てるんです。そこに、遺族年金も加えると、さらに不足分は小さくなります。

有野:ホンマや! もともとの収入の30万円分の全部を保険で賄おうと思うと、保険料も割高になる。でも、出ていく分や、遺族年金などを考えると、そこまで高い保険に入らなくてもOKということなんや。

塚越:その通り! 有野さん、だいぶ保険について、理解が進んだようですね。

有野:保険は最初に入る時に、ちゃんと考えなあかんねんなぁ。僕が急に死んだら、これだけ入るようにして欲しいって作ってもらったけど、考えが甘過ぎました。

塚越:保険は、「入らないと損」や「入っておいた方が得」というような、損得で判断するものではなく、あくまで「経済的な補填」のためのもの。まずは、保険という商品の認識から改めていただければ、授業のかいがあったというものです。

有野:いや~、めちゃめちゃ勉強になります。「入っておいた方が良い」じゃなくて、「なんのために入るか」を考えないとね。お金があるなら入らないって選択もいい。それで、入るならちゃんと調べて入る。僕は絶対入っておきたい保険大好き芸人です。ちゃんとまとめたでしょ? って事で先生、はじめに話した最後のテストは免除でお願いします(笑)

次回(5月30日配信予定)は「資産運用としての保険」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

塚越菜々子

CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士。税理士事務所に15年間勤務し、500件を超える企業や個人の財務経理に携わる。2017年に独立後、2,600人の家計や資産運用のサポートを行いながら、SNSやYoutube(登録者数8万人)で身近なお金について、専門的なことを噛み砕いて発信。日本テレビZIP、テレビ東京ワールドビジネスサテライトなどメディア出演多数。著書『書けば貯まる!共働きにピッタリな一生モノの家計管理』(‎翔泳社)

ライター:新井奈央

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