はじめに
ふるさと納税で失敗したケース
ふるさと納税をする上で、最も重要なのは「自分はいくらまでふるさと納税ができるのか?」という、限度額を正しく把握することです。限度額は、1月から12月までの1年分の税金が正しく計算できる状態でなければ、試算することができません。
それゆえに、フリーランスなど自営業で自分の年収が12月の末にならなければ把握できない方は、ふるさと納税の限度額試算もその時期でなければできないので、制度を正しく活用することが難しいと言われています。逆に給与収入のみで年収が早い段階である程度把握できる方は、早いタイミングでふるさと納税の限度額を試算して、早めに返礼品を申し込んだり、計画的に色々な品を受け取ることができます。
この、ふるさと納税限度額の計算をいい加減にしてしまい、失敗した例がいくつかあります。特に、扶養控除や医療費控除、住宅ローン控除などがある方は、限度額の試算に「控除」を入れ忘れると、限度額が大きく変わってくるので要注意です。
限度額の試算は各ふるさと納税サイトなどでも行うことができますが、簡単なシミュレーションを使うと「年収と家族構成のみ」を入力するだけで限度額の計算がされてしまいます。多額の医療費を払って控除を受ける予定の方や、住宅ローン控除を受けて税額が安くなる方は、簡単なシミュレーションでは正しく限度額が計算できないということもあります。
また、毎年ふるさと納税をしてすっかり慣れているという方も、住宅を買った1年目でローン控除がスタートした年は、ふるさと納税の控除がなくても、もともと前年に比べ税額がかなり安くなり、場合によっては住民税が0円になる方もいるほどです。前年と同様にふるさと納税の限度額があると思い込んで寄付をしてしまうと、引いてもらう予定だった住民税がそもそも0なら、何も引けません。ただ寄付しただけの良い人です。なんて……嘆かわしい!
例えば、大学生の子の扶養をつけ忘れていた年収400万円の方の場合、扶養なしなら限度額が45,000円ですが、19〜22歳の扶養が1人つくと控除が増えることにより、ふるさと納税の限度額は33,000円になります。45,000円寄付してしまったら、33,000円しか控除を受けられず、11,000円はただ寄付しただけになります。
本当の限度額を知るためには?
ふるさと納税を行う場合、自分が本当はいくらまで寄付を行うとMAXの控除が受けられるのかを、正確に把握することが必要です。そのためには、12月までのボーナスも含めた年収を早めに見積もることと、他に自分が受けられる控除がどれくらいあるかを正しく知っておくことが必要になります。
今年、医療費控除を受けそうなのであれば、医療費を随時集計しておくこと。家族構成など扶養の状況が変わる方は、前年の源泉徴収票と比べてどこが変更点なのかなど、しっかり確認しておきましょう。
ふるさと納税の限度額は、各ふるさと納税サイトでも計算できますが、より詳細の情報を入力して正しく上限を知る方法があります。各自治体が公開している「住民税の計算シミュレーション」サイトを活用する方法です。
最近では、多くの自治体がサイト上で「住民税の申告書作成コーナー」を設置しています。その中でも、一部の自治体では、住民税申告書を入力完了すると、「あなたのふるさと納税限度額はXXX円です」と教えてくれます。自治体に提出する住民税の申告書を作成する場合は、ご自身が住む自治体のサイトを使わなければなりませんが、ふるさと納税の限度額の試算だけなら、別の自治体のサイトを使っても構いません。
昨年の源泉徴収票を参考に、年収や控除額を入力することが可能ならば、源泉徴収票を見ながら金額を入力し、それよりも年収が大きくなりそうなら支払い金額に増加分を上乗せして入力してみましょう。ただし、あくまでも参考数値になりますので、限度ギリギリまでふるさと納税をすることも、多少のリスクがありますので気をつけましょう。もし、年内にその年の源泉徴収票を受け取れたなら、確定した金額で最終チェックもできるということです。
正しく金額が把握できればたくさんの返礼品をゲットして、その寄付額から2,000円引いた金額が住民税で安くなります。実質2,000円で色々もらえてお得なふるさと納税の制度、改めて再確認して活用できたら、「なんて……喜ばしい!」ですね。