はじめに

投資プロ集団の「運用チーム」が銘柄を選別

山中:実は、投信は「余りもの」のセット売りが起源と言われているんです。

有野:余りもの? セット売り? 僕の印象やと、40年前にガンダムのプラモデルが流行った頃に、ガンプラにくっつけて、ロボダッチがセット売りされてて。「ロボダッチいらんのに、定価でくっつけられてる!」って文句言うてました。そのロボダッチばっかりでセット売りしてる、ってことですよね、なんか嫌な響きやなぁ。でも、会社側もロボダッチ扱いされるのも嫌か。

山中:証券取引所の中で、売買担当者が指で「何株」とかサインを出して注文をしていた時代ですね。

有野:大きく動いて手サインでやってるやつね、昔ニュースで見た記憶ある(笑) あれもうないんや……そらコンピュータも進んでるからないか。

山中:相当昔の話になりますが、証券会社が抱えている株で、なかなか買い手がつかない不人気な株を「投資信託」という形で“セット販売”していたらしいんです。そのため、以前は投信を買っても儲からない、というのが通説になっていたようですね。

有野:そうか、品はいいのに有名銘柄ではないから買い手がつかない、言い方は悪いけど不人気株。腕はあるのに売れてない「THE SECOND」に出てたマシンガンズみたいな感じね(笑) そんなのがたくさんあって「○円分の商品が入って、このお値段!」みたいに言われると、「お得やん!」って買っちゃうけど、さて、どうしようかって思ってしまう。「有吉の壁」で「THE SECOND」の芸人ばっかり版、毎週はしんどいなぁてん…あれ? この例え、合ってるかな? 先生、進めてください。

山中:以前、投信は銀行や証券会社にとって販売手数料を取るために作られた商品という側面がありました。証券業界の「黒歴史」と言えるかもしれません。ただ、2000年に金融庁が設立されて以来、徐々に「顧客本位」の姿勢や商品開発が求められるようになり、現在では、「どういう銘柄に投資をしているか」はもちろん、その銘柄を買った理由まで、きちんと顧客に説明する必要があります。多くの点で、以前の投資信託とは様変わりしていますね。

有野:2000年か、割と最近なんですね。金融庁が目を光らせて、「余りもののセット売り」ではなく、どういうセットになっているか、って説明してもらえるようになってる、って事ですね。さっき、投信を運用しているのは「その道のプロ」って言ってましたけど、プロってどんな人なんですか?

山中:ファンドを運用しているのは、「ファンドマネジャー」と呼ばれる人たちです。そのファンドマネジャーが銘柄を選別したり、売買の注文を出したりしていますね。

有野:え、そのファンドマネジャーが一人でやってるんですか!?

山中:最終的な判断を下すのはファンドマネジャーですが、一人というわけではありません。そのファンドマネジャーの周りに銘柄や業界の情報を調べるアナリストが大勢いて、1つの「運用チーム」を作っています。投信の規模によって、チームの人数も変わってきます。

有野:なるほどなぁ。ただ、言い方は失礼やけど、優秀なファンドマネジャーと、そうでもないファンドマネジャーがいるわけですよね。資産を減らしたくないなら、優秀なファンドマネジャーを探さんとダメ、ってことですか?

山中:投信は、過去の運用成績もチェックできますから、長期にわたって良い成績を上げているファンドマネジャーさんの投信を選択するというのも、投信選びの一手でしょう。ただ、その投信の内容や時期によって投資のパフォーマンスは変わってくるので、ファンドマネジャーだけで投信を決めるというのは、極端すぎるかもしれません。

有野:でも、「カリスマ投資家」って聞いたことがあるので、カリスマファンドマネジャーもいるんと違います?

山中:いますよ! 現在は、大手銀行や大手証券系の運用会社以外に、資本的に独立した「独立系運用会社」が誕生していて、その投資戦略や考え方が個人投資家から注目を集めているファンドマネジャーもいらっしゃいます。

有野:え、本当にいるんや(笑) じゃあ、そのカリスマがファンドマネジャーしている投信を買えばいい、ってことですか?

山中:一概にそうとは言えないですね。「大きなリスクをとって儲けたい」とか、「あまりリスクを取らずに資産を運用したい」など、投資の目的によって、どの投信に投資すべきかが変わってきます。いわゆるカリスマと呼ばれるファンドマネージャーが運用する投信は、どちらかというと前者のケースが多いです。

有野:確かに、「大きなリスクをとって儲けたい」ってのは、攻めててカリスマっぽい。「リスク取りません、だから利益も出ません」って、カリスマっぽくないもんなぁ。

山中:近年は、投信業界全体が「顧客本位」の目線に変わりつつあることもあって、魅力的な投信がたくさんありますから、もう少し投信を深く掘り下げていきましょうね。

有野:なるほど〜、確かに「カリスマがいる投信を買え!」でいいなら、もう授業終わっちゃいまもんね(笑)

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