はじめに

油断ができない「つみたてNISA」対象商品

成長投資枠の対象商品は、今後も随時追加され発表される予定です。また、その中から各金融機関がどんな商品を選択するのかも、今後適時発表されていくでしょう。販売の現場でどのような説明が行われ、投資家に提案されていくのか、非常に気になるところです。

基本的には成長投資枠で排除となっている3つの基準に加えて、低コストであることが求められる、つみたて投資枠の方が基準が厳しいので、投資家にとってはつみたて投資枠の対象商品の方が好ましいと考えます。

従って、成長投資枠でのみ対象となる商品は、つみたて投資枠では買えないような、魅力がある商品であることが望まれます。もちろん、個別株は成長投資枠のみ購入可能なので別ですが、投資信託においてはしっかりとした選別の目を養う必要があるでしょう。

また、現行のつみたてNISA対象商品であっても、最近はどんどん信託報酬の引き下げが実行されており、特にインデックスファンドにおいて、信託報酬の格差が拡大しています。つみたてNISAだからと言って、どれでも同じというワケにはいかなくなってきました。

例えば、TOPIXに連動するインデックスファンドの場合、最も低い信託報酬は0.14%ですが、最も高い信託報酬は0.55%です。それぞれの投資信託の一例ですが、前者に該当する投資信託にはニッセイTOPIXインデックスファンドが挙げられ、後者に該当する投資信託には、ニッセイTOPIXオープンがあります。名前が酷似しているため、間違って選んでしまうと、信託報酬が割高な分運用利回りが落ちてしまいます。

またMSCIコクサイに連動するインデックスファンドの、現時点で最も信託報酬が安いものは0.1%です。一方で最も信託報酬が高いものは0.66%です。前者に該当する投資信託には、eMAXIS Slim先進国株式インデックスがあり、後者に該当する投資信託にはeMAXIS 先進国インデックスがあります。こちらも、気をつけて見ないと違いが分からないくらい名前が酷似しています。

本来であれば、運用会社は同じ指数に連動するインデックスファンドを複数運用する必要はないと思うのですが、先に挙げたように、実際に同じ運用会社の同じ指数連動のインデックスファンドであっても、高い信託報酬のまま、つみたてNISA対象商品として放置されているものもあります。インデックスファンドにとっては、信託報酬の多寡は運用成績に直結するので、購入の際には気をつけたいところです。

投資の世界を広げてみる

非課税投資の普及が、少しずつですが確実に進んでいます。YouTubeチャンネルでの投資に関する発信が急激に増えた際は、筆者の元にご相談に来られる方はほとんど「S&P 500」に投資したいとおっしゃるものでした。

しかし最近は、インドのマーケットに興味があるとか、金や原油など商品に投資をする投資信託も購入してみたいと、ご自身の考えをおっしゃる方も増えてきました。また、独自の投資哲学に共感したと、アクティブファンドに関心を寄せる方も少なくありません。

投資に正解はありません。経験を積んで、ご自身なりの考えで長期の資産形成が実現できると、とても素敵だと思います。

この記事の感想を教えてください。