はじめに
特に節税が有効になるのはどんな人?
控除について解説してきましたが、それでは実際に控除を利用した際に、節税効果が高くなるのは、どんな方でしょう? 答えは、所得が高くて税率が高い方です。
前述の通り、所得から控除を引いて残った「課税される所得」に税率をかけるので、税率が高ければ高いほど、その節税効果は大きいのです。
ここで、所得税の税率表をみてみましょう。
画像:国税庁「No.2260 所得税の税率」より引用
一番低い税率は5%から、一番高ければ45%です。住民税率は一律10%なので、これを合わせると、適用される税率は15〜55%とかなりの幅があるということです。
所得税は、課税される所得金額がその境目を超えたところからが税率がUPするという「超過累進税率」という方法で税率が決まっています。同じ「扶養控除38万円が無くなってしまった」というケースでも、低い所得の人は38万円 × 15%なので5万7,000円の税金が、一番税率の高い人は38万円 × 55%なので20万9,000円もの税金が増えるということです。税率の高い方は、特に必死で控除が無くならないように、死守しなくてはいけませんね。
税率が上がるボーダーラインを、総支給金額でおおまかに示してみました。なお、わかりやすくするため社会保険料は一律15%として計算しています。
例えば、年収470万円以上の方なら、控除が増えると控除額 × 30%の節税効果があるということです。年収が高く、税金が高いなと感じていらっしゃる方ほど、控除をしっかり活かして節税してみてくださいね。
一方、特に税額が大幅に上がってしまう方もいます、それは高所得の方です。所得が高い方には、基礎控除という控除が減額、またはゼロになるというルールになっています。以前は全員が一律同額を受けられるという控除でしたが、現在は所得の金額に応じて段階的に減額されています。
画像:国税庁「No.1199 基礎控除」より引用
世界的に見て、日本の会社員は税金の優遇が大きいと言われていますが、今後は改正が入り、増税傾向が予測されています。
なんて……嘆かわしい!
正しい控除の知識を身につけて、ただ決められた金額を納め続ける生活から脱出しましょう。