はじめに

「株主優待」だけで株価が上がる?

藤川::値上がり益や配当のほかに、「株主優待」狙いで株を買う人もいます。クオカードとかお米券とか、株主に対する商品の割引券とか、会社によって本当にさまざまな株主優待があります。

有野:飛行機が安く乗れる、とかもありますよね?

藤川::あります、航空会社の株主優待券は人気ですね。クオカードや自社グループの商品、サービスの利用券や割引券が多いですが、なかには株主優待でしか手に入らないアイテムやグッズを出している会社もあります。2023年2月、円谷プロダクションを傘下に抱える円谷フィールズホールディングスが、会社の合併を記念してウルトラマンをモチーフとした「記念優待」を実施すると発表して話題を集め、株価が急騰したことがありました。

有野:え、そうなんや! それは興味ある、帰ったら調べよう!

藤川:あれ? なんかテンション上がりましたね。

有野:実はフィギュア集めも趣味の1つなんです(笑) それで気になったんですけど、マニア心をくすぐる円谷の記念優待みたいなの出す会社もあるって事は、株主優待だけで株価が上がることもあるんですか?

藤川:株主優待は個人投資家にかなり人気が高くて、優待を新しく始めたり、制度を拡充したりすると、短期的に株価が上がることが少なくありません。反対に、優待の縮小や廃止を発表したりすると、それだけで株価が下がったりすることもあります。

有野:う〜ん、さっき話してた「会社の成長、従業員の給与、株主の配当」って3要素のバランスですね。株主優待には前から興味があって、優待がある株を買おうかなぁなんて考えたこともあります。それも選んでるうちに魅力的な優待が多すぎて、まだ悩み中です。

藤川:実は最近では、優待を止める会社が結構出てきているんです。

有野:え、早くしないとアカンのか。でも、優待目当ての人もいるのに、どうしてですか?

藤川:株主優待って、配当と同じで「株主に稼いだ利益を還元しますね」という目的で行われていますが、日本市場独特の制度なんです。近年は、「株主優待に出すお金があるなら、もっと成長のためにお金を使ったり、配当を増やしたりするべき」という声が上がるようになっているんですよ。

有野:そもそもの目的の「会社の成長」へ戻そうとしてるんですね。でもなんか、遊び心がなくて、株主優待目当ての僕からしたら楽しくないなぁ。

藤川:あと、「議決権の所有」を狙って株を買う人もいますね。これは、個人というより主に法人ですが。

有野:議決権って何ですか?

藤川:議決権は、株主総会で会社が提案することに対して、決議に参加できる権利のことです。発行している株の100%を持っていれば、完全なオーナーになるわけですが、50%保有なら議決権は半分。1%未満、たとえば100株しか持っていなくても、一応議決権を持つことができます。

有野:株って、会社の社長とか会長がたくさん持っているわけじゃないんですね。

藤川:創業して間もない新興企業だと、代表者が過半数の株を持っているケースはよくあります。ただ、会社が歴史を積み重ねていくにしたがって、社長の交代や他社との合併もあるでしょうし、さらにたくさんの株券を発行することもあります。新たに株券を発行すれば、それ以前の株主の議決権は小さくなりますよね。発行している株が1,000株で100株持っていれば10%ですが、新たに9,000株発行して1万株になったら、1%まで比率が下がってしまいますから。

有野:ドラマでよくある、乗っ取られるパターン! 儲けのために株券を発行しすぎて、気がついたら他社に50%以上買い占められて、「社長! どうしますか?」ってよくあるけど、こんなのはドラマの中での話ですかね?

藤川:実はそういうケースがあるんですよ。会社の経営方針などを変えようとして、議決権の半分以上を取るために、その会社の株を買い集めたりとか。有名なところでは、昔、ホリエモンこと堀江貴文さんが、フジテレビの親会社であるニッポン放送の株を買い集めて、世間でも騒がれましたよね。

有野:あ~っ、あれか! そのニュースなら当時、毎週フジテレビで仕事をしてたし、芸人仲間でも話題になったの覚えてます。「どうなんの?」「番組無くなるのか?」って聞いても、「大丈夫です」としか言われてなかった気がする。そらただの雇われ芸人に、会社の深い話なんてしないか。

藤川:最近では「モノ言う株主」といって、会社の経営にモノ申すために株を買い集める人たち、大半は投資会社ですが、彼らが株を買い集めて、経営に口出しをしようとする人たちもいます。

有野:その株を持っている別の投資家にとっては、嫌やろなぁ。「社長のやりたいようにさせたれ」って考えてそう。でも、株主からしたらお金出してるし、「口出し」って難しいですね。

藤川:「口出し」というと悪い印象があるかもしれませんが、モノ言う株主は何もわがままを言っているわけではありません。「現金を持ち過ぎているから、一部を配当に回すべき」とか、「もっと効率のいい経営をしなさい」など、経営陣に対して意見をすることで、会社をもっと成長させ、株価を上げようという狙いがあるんです。株価が上がったら、投資をしている自分たちも儲かりますからね。モノ言う株主の提言によって会社の経営が良くなって、会社が成長して、株価が上がったり、配当金が増えたりする可能性もあります。

有野:なるほど、他の投資家にとってプラスに働く可能性もあるんですね。

藤川:それに、日本はお金を貯め込んでいる会社が多いので、「そんなに貯め込んでも仕方ないんだから、もっと研究開発や設備投資、配当に回すべきでしょ」という指摘が正しい場合もありますよ。一概に正しい、間違いとは言い切れないし、個々のケースによりますね。

有野:なるほどなぁ。僕ももっと鋭い指摘をドンドンして、先生の僕に対する株価を上げたほうがいいですよね。そうしたら、マル秘情報とか教えてくれるかもしれへんし(笑)

藤川:もともと有野さんの株価、低くありませんよ。でも、もっと上がれば出しちゃうかも(笑) ということで、次回はその株価がどうやって決まるのか、勉強しましょうね。

有野:先生、褒めるのも話まとめるのも上手いですね〜(笑)

次回(8月8日配信予定)は「株価はどうやって決まるか」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

藤川里絵
2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。負けない投資がモットー。普通の人が趣味として楽しめる株式投資を、日本中の(とくに数字オンチの)人に広めるため、講演活動、パーソナルトレーニング、オンラインサロンと多岐に活動中。おもな著者に『月収15万円からの株入門 数字音痴のわたしが5年で資産を10倍にした方法』(扶桑社)、『株は5勝7敗で十分儲かる!』(ビジネス社)、『株の達人が教える世界一楽しい会社四季報の読み方』(SBクリエイティブ)

ライター:新井奈央

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※本記事に掲載している情報は2023年7月25日時点のものです。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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