はじめに
50代は公私ともに責任の重い時期ではないでしょうか。
仕事では役職についている人も多く、自分の業務だけではなく、管理職として部下の指導・育成にも力を発揮していることでしょう。家庭では、子どもが高校生・大学生の世代で教育費のピーク。また、親の介護が現実的になり、そちらにも精神的・経済的なサポートが必要になることも。
まさに十人十色、10組の夫婦がいれば10のライフスタイルがありますが、今回は50代夫婦の平均を見ていきたいと思います。平均値との比較から、夫婦の個性が浮かび上がってくるでしょう。
東京都50代夫婦、世帯年収の平均は約740万~750万円
日本では、1990年なかばから共働き世帯が専業主婦世帯を上回りはじめ、 今では共働き世帯は当たり前。それは子どもがいても同様ですが、世帯主の収入がメイン、配偶者の収入は補助的なものとする家計が多いようです。
総務省の「2019年全国家計構造調査 家計収支に関する結果」によれば、50代前半の二人以上世帯の収入は、世帯主が月約50万9000円、配偶者が月約7万1000円、その他が月約4万5000円、合計で月約62万5000円。年収にして約750万円です。
その他収入は、保有している不動産からの家賃収入、副業収入、社会保障給付などです。社会保障給付には、病気やケガをしたときの傷病手当金や、1カ月の医療費が高額になった場合の高額療養費制度による給付金、雇用保険の給付金などがあてはまります。各種給付金は申請しなければもらえませんので、情報収集はしっかりしておきましょう。
会社員などの場合、50代前半は収入のピークで、その後は右肩下がりになっていきます。50代後半の二人以上世帯の収入は、世帯主が月約46万円、配偶者が月約7万7000円、その他が月約7万9000円、合計で月約61万6000円。年収にして約739万円と、50代前半の1.5%減です。
しかし、世帯主の収入だけで見ると10%減です。減額分を、配偶者やその他の収入で補って、結果として1.5%減にとどまっていると考えるべきでしょう。
その他の収入には、夫婦以外の家族、たとえば社会人になった同居の子の収入も含まれます。とはいえ、子はいずれ独立して家を出ると考えれば、夫婦の収入だけでやっていかれるように考える必要があります。
50代世帯の平均貯蓄額は1253万円
次に、50代の平均貯蓄額を見てみましょう。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)2022年」によれば、平均貯蓄額は、約1253万円です。
ただし、平均値は単純な合計金額をデータ数で割った数値です。より実態に近いと言われる中央値では、350万円です。平均値とかなりの差がありますが、これは貯蓄のない、金融資産非保有の世帯と、高額な貯蓄を持つ世帯の二極化が進んでいるためと考えられるでしょう。
貯蓄金額を年収別に見てみると、共働き世帯の平均年収が当てはまる500万~750万円の世帯では、平均値は1070万円、中央値で410万円です。貯蓄がない世帯と、1000万円以上の貯蓄ができている世帯に分かれています。