はじめに
日本では、定年退職を65歳と定めている企業が多く、60代は今までの生活が変わるひとつのターニングポイントとなります。20代から50代までの年代別でお金との付き合い方を解説してきましたが、今回はいよいよ60代について解説していきます。
若い方は、ご自身の将来の姿として参考にしていただけるとうれしいです。
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改めて考えたい長寿の意味
ファイナンシャルプランナーとして多くの方のライフプラン相談に携わってきましたが、若い方へのアドバイスと年配の方へのアドバイスをする際の心構えは、異なります。
若い方が直面するお金の問題は、「産みだす」ステージにおけるものです。ご相談の多くが住宅資金、お子さんの教育資金やこれからのための資産形成についてなど、新たなものを手に入れるための事柄が多く、ご相談者様も若くエネルギーに満ちています。
新たなことにチャレンジする、あるいは学ぶことに前向きな方が多いですし、情報を得るためのスキルも持ち合わせています。従ってアドバイスをする際も、ご自身が判断をするための環境や材料をととのえたあとは、「見守り体制」でアドバイスを継続することが多いです。
一方、60代になると人は「失う」時代に入ります。若さを失い、体力を失い、定年で仕事も失います。家族との別れを経験する方も増えてきます。多くのものを失う中で、それでもまだあるものを大切に、大切なものをうっかり失わないように、目を配り対策することが非常に重要になります。
しかし、なかなか現実に目を向けることができず、なんとなく「大丈夫なはず」と、のんびり構えている方も少なくありません。これからの長い時間は、老いと向かいあう時間だと心得ましょう。これが長寿時代の現実です。おのずとアドバイスも、長期的な「伴走型」になります。