はじめに

インボイス制度の焦点は「仕入税額控除」

小島:たとえば、あるハンバーガー屋さんでハンバーガーセットが売れ、2,000円の売り上げがあったとしましょう。それにかかる消費税は200円。当然、お客さんは消費税込みで2,200円を支払うことになります。でも、ハンバーガー屋さんも、自分たちでお肉やパンなどを生産しているわけではないので、仕入業者から材料を買って、お店で調理しています。

有野:ハンバーガーといえば、どんどん値段が上がってきてますよね、前まで1個100円もしなかったもんなぁ。あれくらいのハンバーガーは食べやすいけど、1個2,000円とかするハンバーガーって、具が多くて分厚すぎて、それをデートで食べるって考えたら、食べる時に開ける大きな口を好きな人に見せられへんと思うねんなー。お店も「ぎゅーって、押しつぶして食べるんです」って、そんな乱暴な。なので僕は、ハンバーガー食べないんです(笑) すみません、続けてください。

小島:ハンバーガーセットの2,000円に対して、材料の代金が1,000円でした。そうなると、仕入元には1,000円の売り上げがあるので、消費税100円を支払う必要があります。この時、ハンバーガー屋さんは原材料の仕入れにかかった1,000円分の消費税を差し引いて、残り1,000円分の消費税だけ納税できます。

有野:うわ、この図すごいわかりやすい! そうか、ハンバーガー屋さんが200円そのまま納税したら、仕入れ時とタブルで消費税を払うことになるもんな。

小島:これが「仕入税額控除」という制度で、仕入れにかかった消費税を差し引いて納税するパターンです。

有野:仕入税額控除……また新しい用語がでてきた! でも好きな言葉の「控除」が入ってる(笑)

小島:仕入税額控除は、仕入れの際に消費税を支払っている「(消費税が)課税された仕入れ」であることが適用の主な要件です。複雑な制度なので、今回は細かい説明は省いて、ひとまず「原材料の仕入れにかかった分の消費税を差し引いて、残りの消費税だけ納税できる制度」という感じで、ぼんやりとイメージできればOKです。

有野:ぼんやりとイメージするのは得意です(笑)

小島:ただ、仕入元が年間の売り上げが1,000万円に届いていない「免税事業者」だった場合、仕入元は消費税の支払いを免除されます。すると、消費税と納税額が一致しないことになります。

有野:でも、バーガーセットを買ったお客さんは200円の消費税を払っているから、ハンバーガー屋さんが200円分の消費税を納めなきゃいけなくなる、つまりハンバーガー屋さんが仕入元の分の消費税まで負担しなきゃいけなくなる、ってことですか?

小島:全額を負担する、というケースも出てくると思います。インボイス制度が運用されることで、この税額を正確に把握することができるようになるんです。

有野:何で? ぼんやりイメージしてたものが、綺麗に見えなくなりましたよ。

小島:この例の場合、仕入業者さんが国税庁にインボイス制度適格請求書発行事業者として登録をして、インボイスを発行することによって、「課税された仕入れ」の証明になりますから、ハンバーガー屋さんは引き続き「仕入税額控除」を活用できます。一方、仕入業者さんがインボイスの登録をしないと「課税された仕入れ」の扱いにならないので、仕入税額控除を活用できなくなってしまいます。

有野:なるほど、話がクッキリ見えました! インボイスがないと、仕入れの時にかかる消費税の分も、ハンバーガー屋さんが負担せなあかんようになる、ってことですね。そうなると、全額負担してるハンバーガー屋さんからすれば、仕入業者に「インボイスに登録してくれ」って言いたなるよなぁ。

小島:おっしゃる通りです。そこが、いままさに問題になっている点なんです。

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