はじめに

インボイス制度の影響を受けやすい人

有野:インボイスって、意外といろんな人に影響があるもんなんやなぁ。副業をやっている芸人って割とおるし、注意しないとですね。

小島:「収入が減る」という点で、デザイナーやシステムエンジニア、個人タクシー、弁護士などの士業といった「個人で事業を展開されている方たち」は、大きく影響を受ける可能性があります。同じように、個人事業主や小規模の会社など、「免税事業者に発注する立場にある会社」だと、取引先がインボイスに登録していない場合は自分たちで消費税をかぶることになるので、やはり収入や収益が減るでしょう。

有野:なるほど。じゃあ、会社員みたいな給料制で支払ってる事務所は関係ないけど、僕みたいに事業主として契約している芸人をたくさん抱えている事務所は大変なんやなぁ。他人事みたいに言うてますけど(笑)

小島:確か最初の授業の時に、松竹芸能さんに「数字を教えてください、って言われてる」っておっしゃってましたよね?

有野:言われてます! でも、この授業を受ける前は「数字ってなんのことやろ。まぁ、後回しでええか」くらいにしか思ってなかったんですよ。でも先生に教わって、その数字が「インボイスの登録番号」ってことがようやくわかりました。松竹芸能も一回、芸人を集めて、先生にインボイス講座を開いてもらわんとあかんのちゃうかな(笑)

小島:お話し、お待ちしてます(笑) 一般的に、大きく影響を受けると言われているのは、小売業や飲食業、建設業など、個人事業主や小規模事業者との取引が多い業種です。また、個人事業主や小規模事業者の収入が減れば、彼らを相手にビジネスを展開している会社、業種も間接的に影響を受けるでしょう。

有野:確かに。「インボイスで収入が減るし、節約しないと」ってなりそうですもんね。

小島:何度もお伝えしていますが、あくまでインボイス制度の登録は「任意」なので、登録しないという選択をすることも可能です。どうしても、力関係が弱いと「取引先の発注が減るかも」などと考えてしまって、インボイスに渋々登録をする方もいらっしゃるでしょう。

有野:小さいとこだと、そう考えてしまいますよね。でも、いち早く取り入れてたら好感持てて、取引増えるとかないですかね?

小島:ただ、個人的には、インボイスの扱いについて迷っている会社も相当数いるはずなので、ただちに多大な影響が出るとは思っていません。取引先の反応をうかがいつつ、しばらくは様子を見てみるのがベターだと思います。

有野:じゃあ、僕もやっぱり様子を見ることにしようかな、収入減るのは嫌やし。あ、いち早くヒコロヒーとなすなかにしをインボイススパイとして、申請させて、先輩は様子見をさせてもらおうっと!

小島:いいと思いますけど、私にそそのかされた……なんて言わないでくださいよ(笑)

有野:先生、隣にマネージャーもおるし、記事も配信されるから、参謀が先生だってっことは、松竹芸能に筒抜けです(笑)

次回(9月26日配信予定)は「インボイスにまつわる噂」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

小島孝子
神奈川県生まれ、税理士。ミライコンサル株式会社代表取締役。1999 年早稲田大学社会科学部卒、2019 年青山学院大学会計プロフェッション研究科修了。大学在学中から地元会計事務所に勤務した後、都内税理士法人、大手税理士受験対策校講師、一般経理職に従事したのち2010 年に小島孝子税理士事務所を設立。税務や経理業務に関する執筆やセミナー講師の傍ら、街歩き、旅好きが高じて日本全国さまざまな地域にクライアントを持つ、自称、「旅する税理士」。著書に、『会話でスッキリ 電帳法とインボイス制度のきほん(令和5年度税制改正大綱対応版)』(税務研究会出版局)、『ちいさな会社とフリーランスの人のための どうする?消費税インボイス』(税務経理協会)、『3年後に必ず差が出る 20代から知っておきたい経理の教科書』(翔泳社)など。

ライター:新井奈央

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