はじめに
「直ちに処分すべき不動産」5選
それではいよいよ、直ちに処分すべき不動産とはどんなものか、みていきましょう。
1.空き家
田舎に、亡くなった親が住んでいた実家を相続して所有しているケースは少なくないと思います。それを賃貸で貸していたり、帰省の時の宿がわりにしたりしている場合は問題ありません。しかし、空き家状態でまったく使っておらず、特に手入れもしていないといった場合には、その空き家はさまざまなコストとリスクが膨らんでいく不動産と化していきます。
毎年数万円の固定資産税の負担を筆頭に、近隣への配慮として庭の除草伐採作業も必要になるでしょう。さらに、建物も点検や補修をしていかないと、水回りが傷んで使用できなくなったり、屋根が劣化して雨漏りが進行したりすることもあります。
そうすると、保有中のコストが積みあがっていく上に、いざ使おうとしたときや売却しようとしたときに、劣化が進行しすぎて、使うことも売ることもできず、100万円単位の臨時出費を捻出して、解体するしか選択肢がなくなってしまうかもしれません。
その意味では、空き家になったら一刻も早く売却を試みるのが最善といえます。
2.民家や道路に接した雑木林
住宅地の一角に、雑木林のようになった土地を所有している場合があります。昔は一帯が山林になっていたところが、周辺は住宅地として開発され、ぽつんと雑木林が残っているケースや、もともとは宅地だった土地を放置していたら、木がどんどん生えて雑木林になってしまったケースなど、経緯はさまざまです。
このような雑木林の最大のリスクは、「倒木リスク」です。万一敷地の木が隣の民家に倒れて屋根を破損させれば、補修の賠償責任を負う可能性があります。また、面している道路に木が倒れて、運悪く通行人をケガさせてしまったら、隣家の補修とは比べものにならない賠償責任や、加害者としての心理的ダメージを負う可能性もあります。
そういった不幸な事態の加害者になってしまわないよう、定期的な伐採などの維持管理に目を向けることが非常に重要ですが、その維持管理コストも考慮すると、やはり早期売却が必要な不動産の一つです。
3.管理費の高い別荘地
「別荘地は富裕層の嗜好品」と思われがちですが、バブル期などには、定年後にゆったり過ごす拠点の確保として、または資産運用の一つとして、サラリーマン層でも別荘地を購入することは珍しくありませんでした。
しかし社会情勢も変わり、結果として「一度も使ったこともなく、建物も建てずに所有している別荘地」といった土地は全国にあふれています。そして、こういった土地の所有者は、「何も使っていないのに、税金や別荘管理費で年間10万円近くを負担している」といった方も少なくありません。
この負担が、この先も5年…10年…と続くと考えると、トータルすると相当な保有経費を払っていくことになります。
幸い、別荘管理会社や自治会が土地周辺の美観や衛生環境を維持してくれるメリットはあるものの、使っていない以上は、やはり無駄な経費を垂れ流していると言わざるを得ない不動産の一つです。
4.崖地
山林の多い日本では、急傾斜地や崖地が至るところに存在し、当然ながらその崖地にも所有者は存在します。もし、そういった崖地を所有していた場合は、周辺への土砂流出が起こらないよう、所有者として、適切な管理責任が求められます。
最近では、熱海市での大規模な土砂流出がニュースで大々的に報じられ、その所有者責任についても話題になりました。特に昨今は、激甚災害といわれる地震や台風なども発生しており、いつ、自分の土地でそのような事故が起こってもおかしくない状態です。
もちろん、崖地を積極的に買いたい人は決して多くはありませんが、何もせず諦めるのではなく、処分方法を積極的に模索していくことが重要です。
いかがでしたか。
使っていない、リスクの高い不動産は「百害あって一利なし」です。ぜひこの機会に、処分に向けて検討してみてはいかがでしょうか。