はじめに
●60代前半・無職世帯の平均年収は、約277万円
早期リタイアなどで、60代前半で無職世帯の家庭もありますが、老齢年金の給付を受ける場合、減額されての受け取りになりますので収入面では厳しい面があります。
60代前半・無職世帯のうち、二人以上世帯の収入は、配偶者の収入が月約3万円、その他が月約11万1000円、社会保障給付が月約9万円、合計で月約23万1000円。年収にして約277万2000円と、60代前半・勤労世帯の半分以下、約32%です。
早期リタイアをすると退職金が割増になるなどのメリットがありますが、その後の家計収支が健全に保てるかの判断は、シミュレーションをするなど冷静に行う必要があります。
このタイプの家計では、預貯金の取り崩しが、平均で月約6万1000円となっています。
毎月の定期的な収入のほかに、十分な預貯金の蓄えが不可欠といえるでしょう。
●60代後半・無職世帯の平均年収は、約320万円
60代後半になると、老齢年金を受け取る人が増えますので、社会保障給付は60代前半と比べると増えます。ただし、配偶者の収入やその他の収入は減っていて、全体としての収入は少し増える程度にとどまります。
60代後半・無職世帯のうち、二人以上世帯の収入は、配偶者の収入が月約1万8000円、その他が月約4万7000円、社会保障給付が月約20万2000円、合計で月約26万7000円。年収にして約320万4000円です。
長く働き続けることは、さまざまな面でメリットがあります。60代後半・勤労世帯と比べると、社会保障給付は月約4万6000円多く受け取っていますが、夫婦の収入には大きな違いがあるため、月の収入合計では、約20万8000円も少なくなります。
働かない選択をする場合には、年金と預貯金による準備がどのくらいできているか、しっかり確認する必要があるでしょう。このタイプの家計では、預貯金の取り崩しが、平均で月約1万2000円となっています。
60代世帯の平均貯蓄額は1819万円
次に、60代の平均貯蓄額を見てみましょう。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)2022年」によれば、平均貯蓄額は、約1819万円です。
ただし、平均値は単純な合計金額をデータ数で割った数値です。より実態に近いと言われる中央値では、700万円です。平均値とかなりの差がありますが、これは貯蓄のない「金融資産非保有」の世帯と、高額な貯蓄を持つ世帯の二極化が進んでいるためと考えられるでしょう。
リタイア後の生活を安心しておくるためにも貯蓄は大切です。働きたくても、健康や家庭の事情などにより、仕事から離れざるを得ない場合も考えられます。もしもの時の備えとして、貯蓄の習慣はコツコツと続けていきたいですね。
生活費は1カ月平均約29万3000円~35万4000円
老齢年金を受け取るのは基本的に65歳なので、収入面では60代前半と後半で大きな差がありました。また、仕事をしているかどうかも大きく影響しました。しかし、生活費を見てみると、どのタイプの家庭もそれほど大きな差は見られませんでした。