はじめに

相談者に必要な老後資金は1400万円

まずは、ご相談者の老後に向けて準備すべき金額について整理していきましょう。現在の生活水準をもとに老後資金をイメージしてみます。一般的に老後資金の目安額を導く流れは以下のようになります。

1)リタイア後の年金等の収入から、住宅費や食費・水光熱費などの生活費を差し引くと、月々の収入と支出との差額が出ます。

2)月の差額の1年分に、旅行や年払い保険料や家電の買い替え費用など年間で想定される支出を予備費として計上すると、年間の差額が出ます。

3)年間の差額に65歳から何歳まで生きるのかを掛け合わせて、さらにリフォームや介護、葬儀費用などを特別支出として加えれば、老後資金の目安が算出できます。

ご相談者のケースで、住宅ローン返済が終わる80歳まで、今の生活を基準に、年間予備費を30万円、特別支出を800万円と想定すると、

1)「月の収入」―「月の支出」=「月の差額」
 →15万円-15.8万円=0.8万円 ※月の支出から変額個人年金を除いたおおよその金額
2)「月の差額」×12カ月+「年間予備費」=「年間の差額」
 →0.8万円×12カ月+30万円=39.6万円
3)「年間の差額」×◯◯年分+「特別支出」=「老後資金の目安額」
 →39.6万円×15年分+800万円=1,394万円

この計算から、ご相談者が65歳にリタイアし、80歳まで今の生活を維持するためには、1,400万円程度の資金準備が必要ということがわかりました。

準備できる金額は3000万円

ご相談者の場合、住宅ローンの返済が終了すると返済額である約6万円が無くなるため、年金収入のみで生活することが可能になりそうです。ただ、現在お母様とお2人の生活での支出額なので、もしお母様に生活費の一部を賄ってもらっている場合はその分を差し引く必要があります。

既にご相談者は、老後に向けて準備もされています。毎月の貯蓄状況について不明な部分もありますが、最低限、自社株と変額個人年金は積み立てられています。自社株については、年間36万円購入しているので、リタイアまでの残り20年間継続すると想定すると、850万円+36万円×20年間=1,570万円となる予定です。

変額個人年金については、現在の解約返戻金額しか分からないので、現在の解約返戻金の330万円+月々4.6万円×12カ月×20年間(65歳まで)=約1,430万円です。

どちらも運用を考慮せず合算すると、3,000万円程度の準備できることになります。

もし、今の生活が続き、継続して貯蓄することができるのであれば、住宅ローンを支払いながら、老後の生活をしていくことについては、大きな心配をする必要は無さそうです。

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